人気集中で入団も“約束されぬ未来” 未勝利で移籍、いきなり10敗…競合ドラ1の重圧

ソフトバンク入りした有原航平(左)と日本ハムへ移籍した田中正義【写真:ロイター、荒川祐史】
ソフトバンク入りした有原航平(左)と日本ハムへ移籍した田中正義【写真:ロイター、荒川祐史】

5球団競合の田中正義は未勝利のまま日本ハムへ移籍

 ソフトバンクの田中正義投手が、FAで加入した近藤健介外野手の人的補償として、日本ハムに移籍することが決まった。2016年のドラフト時は、アマチュアナンバーワン投手として5球団競合の末に入団したが、度重なる故障に悩まされプロ未勝利のまま、福岡を去ることとなった。複数球団が喉から手が出るほど欲しかった人材も、蓋を明けてみれば上手くいかないこともあるのがプロ野球の世界。直近10年で4球団以上が競合(外れ1位を除く)したのは田中を含め10人いる。各選手の現状をみていきたい。

 10年前の2013年ドラフトでは5球団競合の末、松井裕樹投手(桐光学園高)が楽天に入団した。これまでに2度最多セーブを獲得し、現在は守護神として絶対的な地位を確立している。翌2014年ドラフトでは有原航平投手(早大)に4球団が競合。日本ハム入団後は新人王も獲得し、2019年には15勝(8敗)で最多勝に輝いた。2021年からは海を渡りレンジャーズでプレーするも、2年間で3勝に終わりFAとなった。今季から日本球界に復帰し、ソフトバンクでプレーする。

 2017年には、高校通算111本塁打を放った清宮幸太郎内野手(早稲田実高)に7球団が手を挙げた。プロ入り直後は伸び悩んだものの、昨季は新庄剛志新監督のもとでチャンスを掴み、自己最多の129試合に出場。18本塁打を放って覚醒の兆しを見せた。

 2018年は、根尾昂(大阪桐蔭高)、小園海斗(報徳学園高)の両内野手にそれぞれ4球団が競合した。中日に入団した根尾は打者としてなかなか結果が出ず、昨年6月に投手に転向して新たなスタートを切った。広島の小園は昨季127試合に出場して、遊撃のレギュラーに定着したシーズンとなった。

 2019年はロッテ・佐々木朗希投手(大船渡高)、2020年は阪神・佐藤輝明内野手(近大)、楽天・早川隆久投手(早大)がそれぞれ4球団抽選の末に入団している。佐々木朗は完全試合を達成するなど、いわずもがな球界のエースに成長しつつある。佐藤輝は2年連続20本塁打、早川も先発ローテの一角として、2年間で14勝を挙げている。2021年に西武に入団した隅田知一郎投手(西日本工大)にも4球団が競合したが、昨季は1勝10敗と、期待を裏切る結果となってしまった。今季は巻き返しを図りたいところだ。

 人気集中し、鳴り物入りで入団した選手しても、その後のプロ人生は不透明。数年後の未来を予想するのがドラフトの楽しみの1つではあるが、選手たちは一生ついて回る“○球団競合”の冠を背負う重圧に耐えていかなければならない。

【一覧】ドラフトでは大注目も…成功するとは限らない 直近10年の最多競合選手

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