大量17人戦力外が導いた「なんでもあり補強」 “出戻り連発”中日によぎる一抹の不安

中日・木下拓哉(左)とソイロ・アルモンテ【写真:荒川祐史】
中日・木下拓哉(左)とソイロ・アルモンテ【写真:荒川祐史】

京田&阿部放出した二遊間大丈夫? 成功すれば“世代交代”の旗印に

 低迷からの脱却を目指す2023年シーズンに向け、中日の陣容が見えてきた。例年とは違い、補強で賑わせた今オフ。12球団ワーストの貧打への対策を講じた。主力の相次ぐ放出あり、出戻りありの秘策連発。その度にSNSをざわつかせてきた。話題性はあったものの、実際十分な補強と言えるのか。現状を見ると、一抹の不安も残る。

 騒々しいオフの始まりは“大量戦力外”だった。育成選手を含め実に17人に通告。就任1年目を終えた立浪和義監督は、大胆な血の入れ替えを決断した。次にメスを入れたのは二遊間。主力としてセンターラインを支えてきた二塁の阿部寿樹内野手と遊撃の京田陽太内野手がトレード要員となった。

 交換相手として楽天から涌井秀章投手、DeNAから砂田毅樹投手が移籍。エース大野雄大投手を始め、小笠原慎之介、高橋宏斗、柳裕也ら他球団と比べても充実しているローテ陣は、さらに厚みを増した。一方でコマ不足が懸念される左のリリーバーのリクスヘッジも図った。

 問題の打線は大砲候補の獲得が一丁目一番地となる中、レッズからFAとなっていたアリスティデス・アキーノ外野手を獲得。2020年まで中日に在籍したソイロ・アルモンテ外野手も出戻りした。凋落ぶりが目立ってきた4番ダヤン・ビシエド内野手を“見限る”ことも視野に入れた助っ人ラインナップとなった。劇的に本塁打増とはいかないかもしれないが、手を打った印象は受け取れる。

 投打ともに穴は埋まりつつあるように見えるが、やはり計算できないのは二遊間。遊撃の最有力候補は高卒3年目の龍空内野手だが、まだシーズン通して1軍でプレーした経験はない。守備の負担が大きなポジションだけに、体力面も問われてくる。“守れるけど打てない”28歳の京田を手放し、選んだ世代交代。同じく二塁も新入団選手たちが候補となるだけに、博打的な要素は強い。

 捕手も当初の目論見が外れ、わずか1年半でロッテから加藤匠馬捕手を出戻りさせる事態に。アルモンテとともに手放した前政権から“逆行”する動きにも映り、行き当たりばったり感を指摘する声もある。ただ主力の放出も、出戻りも、チームを根本から変えていく必要性があると判断した決意の表れか。その決断の成否は、結果が全て教えてくれる。

(Full-Count編集部)

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