世界一左腕は3度目の戦力外、大砲は日本SでMVP…“育成落ち”から返り咲きの明暗

中村紀洋氏(左)とソフトバンク・藤井皓哉【写真:荒川祐史、藤浦一都】
中村紀洋氏(左)とソフトバンク・藤井皓哉【写真:荒川祐史、藤浦一都】

通算346試合登板の三上が巨人に育成で入団

 どん底を見た選手は這い上がれる。巨人は昨季までDeNAに所属した三上朋也投手と今季の育成選手契約で合意。通算346試合に登板したリリーフ右腕は、まずは支配下登録を目指すことになった。戦力外通告を経験し、他球団で育成から支配下選手として鮮やかに復活したケースは決して多くはない。だが、力強い“先人”たちがいるのも確かだ。

 筆頭といえば、中村紀洋氏だ。2006年にオリックスを自由契約となると、2007年は中日の春季キャンプにテスト生として参加。背番号「205」を与えられたが、3月には支配下登録を勝ち取った。同年は130試合に出場して20本塁打。日本ハムとの日本シリーズではMVPとなり、お立ち台では涙を流した。象徴的な成功例と言えるだろう。

 現役ではソフトバンクの藤井皓哉投手がいる。2020年オフに広島を戦力外となり、2021年は四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスでプレー。2022年に背番号「157」の育成としてソフトバンク入りすると、3月には支配下に。シーズンでも55試合に登板して防御率1.12と大車輪の活躍を見せた。

 しかし、“戦力外選手”の育成再出発は、狭き門であることは変わりはない。苦しんだ選手も当然いる。2018年オフにヤクルトを戦力外となった由規投手は、楽天に育成として入団。2019年7月に支配下に返り咲いたものの、1軍登板はその1試合のみ。2020年オフに戦力外通告を受け、現在はルートインBCリーグ・埼玉武蔵ヒートベアーズで投手兼コーチとして現役を続けている。

“世界一戦士”も例外ではない。リリーフとして通算600試合に登板した藤田宗一氏はロッテ、巨人と2度の戦力外を経験。2011年にソフトバンクに育成で入団し、3月に支配下登録されたが19試合に登板で防御率9.64と結果は残せず。わずか1年で3度目の戦力外通告を味わった。2006年の第1回WBC日本代表として世界一に貢献した左腕。WBCに出場した選手で戦力外通告を経験したのは藤田が初めてだった。

 華々しく復活し、もう一度戦力として活躍するのはほんの一握り。三上は新天地で、もうひと花咲かすことはできるのだろうか。

(Full-Count編集部)

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