東海大相模に「来た意味がない」 4季連続逃した甲子園…再確認した“当たり前の徹底”
エース子安秀弥は新フォームに挑戦中
投手陣は、最速145キロのストレートとスライダーのコンビネーションが武器の子安秀弥が軸となる。昨秋は4回戦で桐光学園を完封で下すも、翌週の慶応戦ではコントロールに苦しみ、3回に手痛い2ランを打たれるなど先発としての役割を果たせなかった。
「慶応戦では自分のピッチングができずに打たれてしまいました。保土ケ谷のマウンドに対応できずに、プレートの位置を変えたりしたんですけど、うまくいかず……。自分の練習不足です」
敗戦後は、フォームの改善に力を入れている。
「自分のフォームは、前足を着いてからの間合いがないので、バッターにタイミングを合わされやすい。勢いだけで投げている感じだったので、今はキャッチボールの段階から間合いを作ることを意識しています」「結構、しっくりきている」と、手応えを掴んでいるところだ。
さらに、原俊介監督からは期待の左腕として、2年生の高清水慧吾の名が挙がった。秋の慶応戦ではピンチの場面で送り出すも、3者連続四球で交代。角度のあるストレートが武器だが、力を発揮することができなかった。
「あの悔しさもあってか、人一倍練習しているのが高清水。春が楽しみです」と、同級生の及川も期待を寄せる。
日本一を果たした2021年選抜を最後に、4季連続で甲子園から遠ざかる東海大相模。現役生は、誰も甲子園の土を踏んでいないことになる。
「1年生のときからずっと、『甲子園に行きたい。日本一になろう』とみんなで言い合ってきました。甲子園に行かないと、相模に来た意味がない。そのぐらいの気持ちでやっています。横浜にも慶応にもどの学校にもう負けてられないです」
キャプテンの言葉が、チーム全員の想いだろう。秋の悔しさを糧に、夏の甲子園、そして日本一を獲りにいく。
(大利実 / Minoru Ohtoshi)
○著者プロフィール
大利実(おおとし・みのる)1977年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後、スポーツライターの事務所を経て、フリーライターに。中学・高校野球を中心にしたアマチュア野球の取材が主。著書に『高校野球継投論』(竹書房)、企画・構成に『コントロールの極意』(吉見一起著/竹書房)、『導く力-自走する集団作り-』(高松商・長尾健司著/竹書房)など。近著に『高校野球激戦区 神奈川から頂点狙う監督たち』(カンゼン)がある。