入学後に約20kg“減量” 「冬のMVP」認定…名門・鳴門に刺激を与える162cmの1年生

妙見山公園の階段を上る鳴門・本田治幸【写真:喜岡桜】
妙見山公園の階段を上る鳴門・本田治幸【写真:喜岡桜】

昨秋ベンチ外の1年生が急成長…鳴門・森脇監督が「冬のMVP」に選定

 2023年1月、市街を見下ろす撫養城を有する「妙見山公園」で鳴門(徳島)の球児たちは汗を流していた。歴代OBも懐かしむ伝統のトレーニング場だ。255段の階段を1本、2本、3本と駆け上がる。敵は昨日までの自分。これまで計測したタイムの平均値より速く走破することがルールだ。

 爽快感ある笑顔が垣間見られる選手がいる一方で、身長162センチの本田治幸一塁手(1年)は苦悶の表情を浮かべていた。膝が曲がらず棒のようになった足を引きずりながら、登り切った255段をすぐに下りはじめた。

 昨秋の公式戦はベンチ外。3年になるまでに三塁手としてレギュラーの座を掴むことが目標だ。森脇稔監督はその小さな背中を最上段から見送りながら「この冬のMVPや」と頷いた。

「みんなが(MVPは本田と)認めていると思います。タイムが速いとか遅いではなく、伸び率です。2年生でも体力面で本田に負けている選手がでてきました。やったらできるってことを示してくれて、他の選手も刺激を受けていると思いますよ」。

 特に刺激を受けているのは、同じ一塁手の齋藤巧夢内野手(2年)だろう。昨年は春夏ともに甲子園で代打出場し、秋季大会でも四国4強入りへ貢献した。しかし、11月に発症した腰椎分離症に加え、後輩の追い上げに「焦りが大きいです」と複雑な心境だ。

 早期回復を最優先にしながら、レギュラー争いに競り勝つため、体幹やリストの強化など上半身を中心とした練習に力を入れている。回復時期については「夏には間に合います」と力強く答えた。

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