本塁打激減、最下位転落…本拠地移転の“痛み” エスコンで新庄野球はどう変わる

強竜打線が通用しなくなった中日、移転初年度は対応できず

 他球団の例を見てみよう。厳しい結果となったのが、1997年にナゴヤ球場からナゴヤドーム(現バンテリンドーム)へ移った中日だ。ナゴヤ球場は両翼が91.4メートル、中堅が111.9メートルしかなく、そこでの中日は伝統的に強力打線を売りにしてきた。それが本塁打の出にくい球場へ移転し、順位を2位から6位へと大幅に落としたのだ。チーム本塁打は179本から115本へ激減、向上しておかしくない防御率まで4.01から4.33へと下がった。チームの歯車まで狂ってしまった。

 ダイエー(現ソフトバンク)も、1993年に平和台球場から新設の福岡ドーム(現PayPayドーム)へ移った際、大きな痛みを伴っている。92年は借金15で4位だったものの、93年は45勝80敗5分で実に借金35の最下位。チーム本塁打は139本から75本にまで減ってしまった。当時のチームが、南海時代末期から続いた再建期だったこともあるが、Aクラス入りするのも移転6年目の98年までかかった。

 順位に大きな変動がなかったのが、両翼91メートルの藤井寺球場から、同100メートルの大阪ドーム(京セラドーム大阪)へ移転した近鉄。96年の4位、借金5という成績が、新球場では貯金5の3位となった。チーム本塁打は146本から112本へ減ったものの、その分防御率が4.01から3.79へと向上した。ここまで見てくると、グラウンドの拡張に伴い、チームバランスをうまく守備寄りに変えたチームが好成績を残しているようだ。

 では、今季の日本ハムはどんな成績となるのか。1つ大きく異なるのが、これまでの球場移転は狭い球場から広い球場へという流れだったのが、逆になるということだ。これまで高いフェンスに阻まれてきた打球が本塁打になる一方で、それは相手チームにとっても同じ。2年目を迎える新庄剛志監督には、チームの熟成と同時に新球場の野球をどう描くかという課題もありそうだ。

(Full-Count編集部)

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