平良の先発転向で”8回の男”は誰? 穴埋めは「不可能に近い」専門家が指摘した最善策

野口寿浩氏(左)と話す西武・松井稼頭央監督【写真:宮脇広久】
野口寿浩氏(左)と話す西武・松井稼頭央監督【写真:宮脇広久】

平良は「比較的スムーズにイニング数を増やしていける」

 一方、平井は昨年、30試合登板中13試合が先発で残りがリリーフ。それでも6勝8敗、防御率2.89にまとめた。「“困った時の平井”で、昨年は先発も任されましたが、先発陣に駒がそろった今年はリリーフに固定できるのではないか」と予想する。

 セットアッパー候補は、ティノコを加えた上記の4人に限らない。「4年目の宮川(哲投手)が大化けする気もする。本田(圭佑投手)、森友哉の人的補償でオリックスから張奕(投手)も可能性を秘めている」と指折り数える。いずれにせよ、無双状態だった平良の穴を1人で埋めるのは不可能に近く、調子のいい投手が入れ替わり立ち代わり務めることになるのかもしれない。

 平良自身は昨年までのプロ5年間で、1軍公式戦に先発したことは1度もない。転向自体にもリスクがありそうだが、野口氏は「先発転向そのものは成功すると思う。2桁勝利の可能性は高い」と太鼓判を押す。

 根拠は「決してストレート一辺倒にはならず、多彩な変化球を駆使してきたこと。もちろんスタミナを増す必要はありますが、大きくモデルチェンジをすることなく、比較的スムーズにイニング数を増やしていけると思う」というところにある。確かに、平良は最速160キロのストレートを誇りながら、精度の高いスライダー、カットボール、スプリットも駆使。毎年改良や新球種を加える向上心と器用さまで備えている。

 昨季終了後の契約更改交渉の席で先発転向を強く直訴し、難色を示した球団や首脳陣を押し切る形で長年の希望をかなえた平良。野口氏は「昨年まで失点の心配をほとんどしなくてよかった8回から、平良がいなくなるのですから、ベンチが不安がるのも理解できる」とも。平良が勝利投手の権利を持って降板した後、8回に新セットアッパーが打たれて台なし、という皮肉な展開にはならないよう救援陣を固めたい。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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