活気ないブルペン…専門家が苦言「笑われてもいい」 物足りない西武“ポスト森”争い

1軍キャンプに帯同する西武・柘植世那、古賀悠斗、中熊大智(左から)【写真:宮脇広久】
1軍キャンプに帯同する西武・柘植世那、古賀悠斗、中熊大智(左から)【写真:宮脇広久】

球界随一の“打てる捕手”がFAで流出

 森友哉がFAでライバルチームのオリックスへ去り、球界随一の“打てる捕手”を失った西武。後釜の正捕手は誰になるのか。春季キャンプでは、4年目の柘植世那、2年目の古賀悠斗、育成入団で昨年7月に支配下選手登録を勝ち取ったばかりの中熊大智の3捕手が、主力中心のA班でスタートを切っている。

 昨年は143試合中、森がスタメンマスクをかぶったケースが約57%の82試合を占めた。柘植は31試合(約22%)、古賀は20試合(約14%)。10試合(約7%)に先発した牧野翔矢は、昨年7月に右肘のトミー・ジョン手術を受けた影響で、今年は育成選手となっている。

 現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「森友哉は稀に見る“打てる捕手”でした。今年の正捕手には、森レベルの打撃は望むべくもない。しっかり守り、しっかり投手をリードしてほしい、というのが首脳陣の思いでしょう」と見る。

 その野口氏は13日、宮崎・南郷の西武キャンプを訪れ、ブルペンで投手の球を受けた古賀の一挙手一投足に注目していたが、正直なところ、物足りなさを感じたと言う。「中大時代に大学ナンバーワン捕手と言われただけあって、技術的にはワンバウンドの投球をしっかり止めていたし、キャッチングにもブレがなかった。強肩との評判も聞く。しかし、声がほとんど出ていませんでした。1球1球、声で投手を盛り上げコミュニケーションを取っていくことは、捕手の最低限の仕事の1つです」と期待が大きいからこそ、あえて苦言を呈した。「キャンプのブルペンに活気がないチームに、強いところはありません」と断言する。

 これはプロ2年目の古賀のみならず、捕手なら“誰もが通る道”だと言う。野口氏自身は1989年ドラフト外で、習志野高からヤクルトに入団。1年目の春季キャンプでは、右も左もわからない18歳にとって、先輩しかいないブルペンで大声を張り上げることは容易ではなく、その結果、監督、コーチ、球団スタッフから“集中砲火”を浴びた。「『間違ってもいい、笑われてもいいから、とにかくしゃべれ。投手に話しかけろ』と言われました。捕手というポジションは、自分から発信しなければ始まらないとたたき込まれました」と振り返る。

「性格を変えてでも声を出す必要がある」

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