侍の“参謀”は元フリーター 大学中退から一念発起…世界へ導いた栗山監督との縁
侍ジャパンの選手は「体の使い方が上手だから疲れ方が違う」
日本ハムではなかなか出場機会に恵まれなかったが、1998年の開幕直前、トレードでヤクルトに移籍すると才能が開花。セカンドやショートで堅守を誇った。2005年オフに移籍組では異例の選手会長に就任したのは、実直な人柄ゆえだろう。2009年限りで現役を引退後、ヤクルト、日本ハムでコーチを歴任し、現在はヤクルトの2軍チーフ兼守備走塁コーチを務めている。
「コーチという立場ではあるけれど、こうして各球団からトップ中のトップだけが集まった中で一緒に野球をやっていると、練習の合間などにふと、不思議な感覚に陥ることがありますよ」と感慨深げ。「一番びっくりしているのは、練習量です。侍ジャパンの選手はものすごく練習する」と語る。
「もちろん体力もあるのだろうけれど、体の使い方が上手だから、どれだけ練習しても、そうでない選手に比べると疲れ方が違うのではないか。侍ジャパンの選手にとっては、ほどよい疲れなのではないでしょうか」と分析している。「もちろん、並大抵の努力ではその域に達することはできない。何事もコツを得るまでには時間と手間がかかりますよね」と続けた。
フリーターの頃、日本代表のユニホームを着る自分を想像できただろうか? 城石コーチは「考えてもいませんよ。正直言って、2度と野球をやれることがあるとも考えていなかった。僕は自ら退いたわけですから」と首を横に振る。49歳の元フリーターは、栗山監督との縁に導かれて得た経験を糧に、今後も指導者として成長していくに違いない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)