難病から復帰の右腕は「フォームも球筋も全く違う」 専門家が活躍を確信する理由
「ポジションを譲りたくないという想いは強かった」
腰に痛みを感じ、前屈するのもままならなかったという。だが、それでも三嶋がマウンドに立ち続けたのは、自分が置かれた立場を誰にも譲りたくなかったからだ。
「2020年から2季は守護神として41セーブを記録。昨季は開幕からセットアッパーを任されていましたが、やはり守護神をしたい、ポジションを譲りたくない、という想いは強かったと言います。山崎康晃と切磋琢磨する中で、戦列を離れることはしたくなかったようです」
だが、その想いだけで乗り切れるほどプロの世界は甘くない。腰の痛みが投球に与える影響は明らかで、戦列を離れざるを得なかった。椎間板ヘルニアなどの可能性を探ったが、胸椎黄色靱帯骨化症との診断。あまり復帰例のない病気だっただけに不安を感じたようだが、一縷の望みを託すしかなかった。
懸命なリハビリや周囲のサポートもあって、今では「手術をして良かった」と三嶋は晴れやかな表情を浮かべる。五十嵐氏も「昨年のキャンプでは表情も暗く、何かに悩んでいる様子だったのが、今年は別人。最高の笑顔をしていますよ」と嬉しそうだ。
「キャッチボールを見れば、フォームも球筋も全く違うのは一目瞭然。能力の高い投手はうまく下半身が使えなくても、上半身に頼った投げ方でなんとなく乗り切ってしまうこともある。ただ、それは小手先の解決でしかなく、シーズンを通して続けることはできないし、成績の浮き沈みも激しくなってしまいます。投手はいかに体に負担の少ないフォームで投げられるかが大事。今年はまたマウンドで躍動する姿を見られそうですね」
チームが1998年以来となる日本一を目指す上で、三嶋が欠かせないピースとなることは間違いない。
(佐藤直子 / Naoko Sato)