短期決戦の浮沈握る「データ分析」 4代監督に仕えた侍コーチが語る“使い方”

侍ジャパン・村田善則バッテリーコーチ【写真:小林靖】
侍ジャパン・村田善則バッテリーコーチ【写真:小林靖】

山本浩二監督時代から小久保裕紀、稲葉篤紀、そして栗山英樹監督まで

 3月の第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で3大会ぶりの優勝を狙う侍ジャパンに、最も長く、継続的に関わっている人間は誰か? それは村田善則バッテリーコーチだ。2013年の第3回大会で当時の山本浩二監督にスコアラーとして尽力したのをはじめ、バッテリーコーチとして小久保裕紀監督、稲葉篤紀監督、そして今回の栗山英樹監督と4代の侍指揮官に仕え、一貫して対戦する相手国の打者のデータ分析を担ってきた。

「(2021年の)五輪では、相手打者の分析は僕、相手投手の分析は金子誠(ヘッド兼打撃コーチ=現ロッテ戦略コーチ)が任されていました。以前の侍ジャパンでは、(データ解析・配信会社の)データスタジアムさんなどが集めてくれる映像や資料を、NPBの球団から呼ばれたスコアラーさんが分析し、ミーティングをしていましたが、今は僕らが分析、ミーティング、コーチングまでを一気にやっています」。村田コーチはそう自身の役割を説明する。

「栗山さんとは過去に一緒にやったことがなかったので、今回は呼ばれると思っていなかった。びっくりしました」と言うが、長年にわたってデータ分析の能力を評価されてきた証だろう。

 同じ相手との対戦を繰り返すNPBやMLBのレギュラーシーズンと違い、ほとんどが1発勝負のWBCでは、事前のデータ収集・分析がしばしばモノを言う。2009年の第2回WBCの準決勝・米国戦では、当時巨人から招集されていた三井康浩チーフスコアラーらが、相手先発のロイ・オズワルド投手の球種によっての癖を対戦前に発見。4回にKOして勝利、そして大会連覇につなげた。現在では、そういった目に見える癖の他、トラックマンシステムが導入されている球場では投手の球速、回転数、変化量、打者の打球速度、飛距離、スイングの軌道など、幅広いデータの入手が可能になっている。

「一番大切なのは投手と捕手がいいものを引き出し合うこと」

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