侍Jが苦戦した遅球の“落とし穴” 大谷がフォーム変えても三振した「錯覚を起こす球」
チェコの先発右腕・サトリアは130キロに満たない球で侍打線を2回まで手玉に
野球日本代表「侍ジャパン」は11日、「カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC 1次ラウンド 東京プール」のチェコ戦(東京ドーム)に10-2で勝利した。序盤は相手先発・サトリアの“遅球”に大谷翔平投手が3球三振に倒れるなど苦戦。野球評論家の新井宏昌氏は「今のプロ野球選手は経験してないボールで面食らった」と、指摘した。
最速127キロの直球に侍打線が翻弄された。“スローストレート”に加え、110キロ台のチェンジアップとカーブに凡打が続いた。だが、3回2死一、二塁から吉田の2点適時二塁打、続く山田の左前適時打で一挙3点を奪って逆転に成功した。
史上最強打線とも言われるメンバーがなぜ、無名の右腕に手こずったのか――。新井氏は「日本のプロ野球選手は150キロ、最低でも140キロと染みついた感覚がある。最速でも130キロに満たない球は味わったことがない。普通はリリースした瞬間に振らないと間に合わない習性がある」と語る。
それが如実に表れたのが、3回の大谷の打席だった。1死二塁の好機で124キロ直球を見逃し、113キロのチェンジアップに空振り、そして最後も116キロのチェンジアップに3球三振に倒れた。ここまで“すり足”だった打撃フォームを初めて足を上げて対応しようと試みたが、バットは空を切った。
「メジャーの投手は動きだしからリリースがはやい。だから、足上げる暇はなく、すり足で対応してきた。だが、この投手には足を上げてゆったりとタイミングを取り、遅い球に合わせた。ですが、それでもまだボールは来なかった。出だしも遅いし、手元でも遅い。錯覚を起こす球に手こずった印象です」
ただ、アジャストできた選手もいた。特に吉田は2回の第1打席で中前打を放ち、3回には左翼線へ逆転の2点適時打を放った。「しっかり自分の間合いで、自分のスイングを出し切れる。ボールを手元で振り切り、逆方向に飛ばす。緩い球でも腰が入ったスイングができている証拠です。打線のなかでより打撃センスが際立った打者だった」と、新井氏は絶賛していた。