大健闘のチェコが抱く“次なる野望” 「日本でやりたい選手が…」期待する新たな可能性

まるで野球の“伝道師”「欧州やアフリカにも広めたい」

 シュナイダーを降板させてからのチェコは、意図的に若い投手をマウンドへ送った。指揮官は「(4番手の)コバラは19歳です。経験を積ませたかったという意味で、これだけの投手を使いました」と狙いを口にした。この大会は決してゴールではない。もっと上を目指していくという意志の表れだった。

「25年間の指導者歴を通じて、U-12、U-18、U-23の育成プログラムで選手たちと接してきました」という。例えば4番のチェルベンカは、2014年に台湾で行われた最初の21U世界選手権に参加し、日本戦でも安打を打っている。手塩にかけた選手たちと歩いた経験を、チェコだけのものにするつもりもない。

「チェコがこんな育成プログラムを作って、ここまで選手を育ててきたことを誇りに思っています。他の国の模範になると思うんです。欧州の野球がこれからも発展していくことを願っていますし、野球をアジアや北中米だけでなく、欧州やアフリカにも広めたい。経験を広めて、振興に寄与したいんです」

 この日対戦した豪州などは、絶好の先行走者だろう。試合後ハジム監督は、豪州のデービッド・ニルソン監督に直接言葉をかけた。「(1次ラウンド突破は)そんなに良く起こることではない。『おめでとう』という気持ちを、私自身が伝えたかった」。後に続くという意思表示だったのかもしれない。

 ハジム監督は試合後の会見に、日本のみやげ物店で売っているような「必勝」と書かれた鉢巻きを締めて現れた。「どれだけ親切にしてくださったかということへの、私の感謝の気持ちです。3年後にまた日本へ戻ってくることを夢見ています」。次の目標は、9月に行われる欧州選手権でのメダル。きっと2026年のWBCでは、さらに強くなった姿を見せてくれるはずだ。

(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

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