栗山監督の“ブレない力”に井口資仁氏も共感 指揮官が選手を使い続ける覚悟

侍ジャパン・栗山英樹監督【写真:Getty Images】
侍ジャパン・栗山英樹監督【写真:Getty Images】

WBC準決勝・決勝を現地で取材、優勝の瞬間は「劇的な締めくくり」

「ドラマでも書けないようなエンディングでしたね」

 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝の興奮を、決戦の地・ローンデポパークで体感した野球評論家の井口資仁氏。野球日本代表「侍ジャパン」の大谷翔平投手がエンゼルスで同僚のマイク・トラウト外野手を空振り三振に仕留め、優勝を決めたシーンは「あれ以上ない対決だった」と振り返る。WBC準決勝・決勝の観戦に先駆け、フロリダ州で行われていたスプリングトレーニングを視察するなど、約3週間に及ぶ米国視察を終えた井口氏が、WBCで見せた栗山英樹監督のブレない強さ、痛感した日米指導者の差などについて語った。

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 米国での取材を終え、日本に戻ってきました。日本は侍ジャパン優勝で爆発的な盛り上がりだったようですね。行く先々で耳に飛び込んでくるのは「侍ジャパン」「WBC」の話題ばかり。3大会ぶりの優勝が、日本の皆さんにどれほど明るく大きなニュースとなったのか感じずにはいられません。

 僕は幸運にも、マイアミで準決勝と決勝を取材する機会に恵まれました。全米各地や日本からもかなり多くの日本人ファンが集まり、グラウンドで戦う選手たちにも大きな励みになったと思います。準決勝では不調だった村上(宗隆)が劇的なサヨナラ打。さらには、決勝でも先制された直後に同点ソロ。長いトンネルに入り込んでいましたが、準決勝の一打で突破口が開けました。

 どれだけ打てなくても、栗山監督は村上をクリーンアップで使い続けました。順番こそ入れ替えても、大谷、村上、吉田(正尚)の3人は何があってもクリーンアップで使い続ける。これは栗山監督が宮崎キャンプから決めていたことだと思います。

 短期決戦とレギュラーシーズンとではチーム編成や采配は別ものですが、どちらにも欠かせないのは投打の軸を決めること。当然、実績のある選手が軸になるわけですから、監督は彼らを信じなくてはいけないし、使い続ける覚悟は決めています。ましてや、日本を代表する優秀な選手が集まる侍ジャパン。栗山監督の頭の中に、村上を外すという考えはなかったと思います。

 多少時間は掛かりましたが、負けたら後がない大事な一戦の「ここぞ」という場面で、ブレない監督の信頼に応えた村上もさすがでした。将来的なメジャー移籍を視野に置く中で、自分には何が必要なのかを知る、いい機会になったことでしょう。

 決勝はクローザーとして登場した大谷がトラウトを空振り三振に仕留めるという、これ以上ない形の結末を迎えました。ドラマやマンガでもないような劇的な締めくくり。選手や監督・コーチ、チームの皆さん、本当にお疲れ様でした。

一目で気付いた千賀の変化、米取材で感じた日米指導者の差

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