ダル&大谷の話は「1日で聞き足りない」 侍選出の同僚を羨望も…届いた「思わぬ報せ」

力強く「1軍完走」と色紙に記した山崎颯一郎【写真:真柴健】
力強く「1軍完走」と色紙に記した山崎颯一郎【写真:真柴健】

トミー・ジョン手術から復帰、打者が「明らかに振り遅れている」

 復帰初戦となった2020年10月のウエスタン・リーグ阪神戦(鳴尾浜)で、山崎颯は衝撃を受けた。「パーンって(150キロが)出た。ずっと出なかったやつがパーンって出たんで、すごく嬉しかった。そこからバーっとスピードが上がってきた。球質も変わったと感じましたね。それまで、真っ直ぐで空振りっていうのはあんまり取れてなかった。それが、明らかに(打者が)振り遅れている感じがしたんです」。地道なリハビリ生活が生んだ最速160キロだった。

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 日本シリーズなどの大舞台は「『やってやるぞ!』という時よりも、楽しんで投げている時の方が(結果は)いいですね」とはにかむ。剛球でヤクルト打線を封じた昨季の日本一直後、「吉報」が届いた。昨年11月の侍ジャパン強化試合でメンバー選考に残ったのだ。「あのユニホームを着て投げられたのはすごい経験になった。わからないですけど……」。そう言って苦笑いする理由がある。WBC球で調整も行い、本戦メンバー入りも有力視されていたが、1月のメンバー発表で「山崎颯一郎」の名前は呼ばれなかった。同学年でチームメートの宇田川優希投手が選出され「羨ましくなりましたね」と吐露する。

 侍ジャパン入りだけが目的ではなかった。より高いレベルの選手に触れて“吸収”したかったのだ。3月の強化試合では“お助け侍”として登板。1日限定で、再びジャパンのユニホームを着た。「普通じゃできない経験なので、すごく良かった。ダルビッシュ(有)さん、大谷(翔平)さん……。メジャーリーガーに会えて、挨拶もできた。ダルさんともトレーニングについて喋れた。ただ、1日では足りないなと思いましたね」。貪欲に情報を掴みにいった。「その日に、宇田川と(京セラドームの)一緒にお風呂に入って『どういうトレーニングしてるの?』とか聞いた。やっぱり、すげえよ……って話になりましたね」。耳にする言葉に深く頷くしかなかった。

 同学年を羨んだ山崎颯に、再び「思わぬ報せ」が届いた。侍ジャパンの栗林良吏投手(広島)が腰痛のため離脱。“代役”で緊急招集され、15日にはチーム本隊に合流した。また、ダルビッシュや大谷と深い野球の話ができるチャンスを得た。

 向上心が24歳右腕を突き動かす。「常に進化しないと、対応される」。そう言葉を放つと、深く頷いた。世間では2020年のファンフェスタで生まれた「吹田の主婦」の愛称が定着しつつある。「グッズも作ってもらえた。いろんな人から『買ったよ!』というメッセージをもらえて嬉しいです」。全力で腕を振る理由が、そこにある。

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(真柴健 / Ken Mashiba)

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