清宮幸太郎に迫る“タイムリミット” ハムOB指摘の弱点…変われなければ「トレードも」
新球場が意識を変える? ここ数年で結果出なければ「トレードだってある」
エスコンフィールドは左翼97メートル、右翼99メートルという非対称形のグラウンドを持つ。左中間までは114メートル、さらに右中間はフェンスまで110メートルで、ほぼ東京ドームと変わらない。さらにフェンスの高さも5.8メートルから2.8メートルへと大幅に下がる。ふたを開けてみなければわからないが、田中氏も「フェンス際のギリギリがホームランになるはず。一番(本塁打が)出る球場になる可能性もある」という。
昨季の18発は、とにかく試合にたくさん使ってもらった結果だと見ている。129試合で461打席に立った。一方で課題だった動きの“キレ”は、1年間を2軍で過ごした2021年に比べ「ちょっと上がってきたかな」という程度。「凡退した打球の質を見ると、打ち損じが多かったり、タイミングが合わないとスイングが緩んだりとか。もっともっと振れるはずなんですよ」。どんな球に対してもしっかり振れるようにするには、体のキレを上げて瞬間的なスピードを上げるのが第一歩だ。
「走っている姿や、守備を見てもなんだか『ふにゃふにゃ』していて、キレがないというかね……。多少良くなったと思いますが、もっと鍛えて、強くしないと」。昨季は開幕前の減量が話題になった。確かに見た目は細くなったが、プレーのキレにはまだまだ、つながっていないと田中氏は言う。「練習するしかないです。体幹を強くしてスイングをもっと早く。キレを出すしかないです。素振りは自分の好きなところを振るじゃないですか。大体真ん中からインコース。やっぱり外を振り切れていないので、そこをどうするか考えて練習しないと」とアドバイスを送る。
猶予は、それほどない、田中氏は、ひたすら練習して自分のスタイルを築き上げるタイミングが「高卒入団選手なら、20代半ばまでには必要」だという。「そこを過ぎれば、トレードがあってもおかしくない」とも。24歳を迎える清宮には勝負の時だ。これは、田中氏自身の経験にも基づいている。1年目から1軍で起用されたが、スピードをさらに上げるために選んだのはウエートトレーニングだった。トレードマークの太い腕は、このタイミングで作り上げた。3年目には130試合フル出場を果たしている。「やり方によっては野球に必要な筋肉が短期間でつく。大谷(翔平=エンゼルス)がそうだったでしょう。細身だったのに、2年目のキャンプを迎える前には身体が全く変わっていた」。そして清宮は、そういう急成長をまだ遂げていない。
幸い、絶好のライバルがいる。昨季シーズン56本塁打、3冠王にも輝いた村上宗隆内野手は同学年、しかも自らの“外れ1位”でヤクルト入りした選手だ。「村上が圧倒的に振れる打撃をする。ああいうバッティングを目にすると、清宮は本当にもったいないなと思いますよ」という田中氏も「村上を追い越す、というくらいに考えて取り組んでほしい」とエールを送った。
(羽鳥慶太 / Keita Hatori)