山賊打線は過去の話…西武が模索する新しい戦い方 松井監督が旗振る“革命”とは
根本的に変わる西武野球、チームスローガンは「走魂」
昨年もチーム打率.229はリーグワースト、464得点はワーストの日本ハムより1点多いだけの5位。主砲の山川の調子が落ちると、比例してチームの得点力も下がるしかなかった。その代わり、山賊打線のころは、リーグワーストのチーム防御率に低迷していた投手陣が一変し、昨年はリーグトップの防御率2.75に躍進。チームの戦い方が根本的に変わってきた。
新任の松井監督は、「走魂(そうこん)」を今年のチームスローガンに掲げ、機動力重視に舵を切った。さらに、「カウント的に追い込まれてからも、1球でも2球でも多く相手投手に投げさせ、まさに“線”として後ろにつないでいく」ことを打線に求めている。
開幕から2試合で特に打撃好調をアピールしたのは、3番に座り打率5割(8打数4安打2四球)の外崎修汰内野手。3月31日の開幕戦では、初対戦のオリックス先発・山下舜平大投手に対し、6回の第3打席でファウルで9球粘り、14球目の同日最速の157キロを中前に弾き返し、降板に追い込んだ。外崎は「状態がいいからこそ粘れているのかもしれませんが、チームとして取り組んでいることでもある。“追い込まれたら、別の打者になる”くらいの気持ちで臨んでいます」と明かし、「投手のレベルが全体的に上がっていることもあって、以前のようにガンガン長打を連発することができなくなっている。つないでいくことが重要だと思います」とうなずいた。
「そういう粘りも出てきていると思います」と松井監督は手応えを感じている。山賊から走魂へ、西武の打線改革は始まったばかりだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)