知的障害児を甲子園に…「夢プロジェクト」発足から3年目 見えてきた収穫と課題

知的障害がある球児たちが甲子園を目指せるようサポートする「甲子園夢プロジェクト」【写真:編集部】
知的障害がある球児たちが甲子園を目指せるようサポートする「甲子園夢プロジェクト」【写真:編集部】

2021年3月に発足した「甲子園夢プロジェクト」、メンバーは11人から45人に増加

 知的障害がある球児たちも甲子園を目指す機会を得られるようにサポートしようと、2021年3月6日に発足した「甲子園夢プロジェクト」。東京都立青鳥特別支援学校で主任教諭を務める久保田浩司さんを中心とするプロジェクトは3年目を迎えた。当初11人だった参加メンバーは45人に増え、これまで23回行った練習会(オンラインも含む)には北海道から沖縄まで日本各地から集合。着実に活動の幅を広げているが、同時に課題も見えてきた。

「有難いことにプロジェクトの登録メンバーは45人を数えるまでになりました。主に都内で開催する練習会に、日本全国から参加してくれている。やはり知的障害があっても本気で野球をやりたい生徒は相当数いるんだと、改めて感じているところです」

 障害の種類や程度はそれぞれ。個々のスキルレベルも様々だが、全員に共通するのが「野球が大好き」という気持ちだ。だが、メンバーの多くが通う特別支援学校には硬式野球部はもちろん、野球部があることが稀。その理由は、知的障害児はルールの理解が難しい、硬球でのプレーは危険だ、といったものが主流だ。もちろん、障害の程度によってサポートが必要とはなるが、練習会の様子を見れば「知的障害児に野球は難しい」という先入観は一掃されるだろう。

 ルールやプレーについて言葉による説明は理解できなくても、身振り手振りを交えたり、分かりやすい目印などを付けたりすることで、野球に対する理解はグッと深まる。久保田さんは「心配する気持ちも分かるが、教える大人のやり方次第。例えば『ベースの内側を踏みなさい』と言われて戸惑う子には、ベースの内側に赤い×印をつけて『×印を踏むんだよ』と言えば理解できることもある。それぞれの子どもに合った伝え方、伝わり方があるんです」と話す。

 プロジェクト立ち上げ当初から協力を惜しまない元ロッテ投手の荻野忠寛さんや、オンラインを含め4度の合同練習を行っている慶応高野球部の森林貴彦監督をはじめ、久保田さんの理念に賛同する野球人は多い。練習をサポートするボランティアスタッフの数も増えた。「おかげさまで夢プロジェクトに対する理解が広がったことを感じます。昨年の夏に実施したクラウドファンディングにも多くの方からご支援いただきました」と久保田さんは感謝する。

メンバーの愛知県予選参加が実現も、見えてきた様々な課題

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