東海大相模時代と激変…門馬敬治監督の新たな挑戦 自ら食器洗い、連日90分のトラック運転

創志学園ナイン【写真:大利実】
創志学園ナイン【写真:大利実】

学校から応援される野球部に 目指すのは「変化」ではなく「進化」

 当初は監督としての契約だったが、この4月からは社会科の授業を受け持つようにもなった。学校からの依頼ではなく、自ら学校にお願いをした。

「相模との大きな違いは、学校とグラウンドが離れていること。相模は学校の真ん中に野球場があり、一般の生徒も先生も野球部の活動を見てくれていました。でも、ここはグラウンドが離れていて、かつ、野球部は別のコース(フロンティアコース)そうなると、一般生徒との距離がどうしてもできやすい。監督であるぼくが授業を持つことで、『野球部の監督って、こんな先生なんだ』と少しでも多くの生徒に、門馬敬治を知ってほしいんです」。

 東海大相模では、正門の前にある横断歩道に立ち、登校指導をしていたこともある。門馬「監督」である前に、門馬「先生」だ。そのスタンスは、創志学園でも変わっていない。そして、変わらないことは、今年1月から掲げたスローガンにも表れている。

『アグレッシブ・ベースボール』。東海大相模でも大切にしていた言葉を、創志学園でも使い始めた。「ずっと大事にしている言葉であり、考えですから。学校が変わっても、それは変わらない。まだまだ浸透していませんが、体から滲み出るようなところまで練習を積み重ねていきたいと思っています」。

 どの地に行っても、どの学校で指揮を執っても、大事にすべきことは変わらない。「変えようとは思っていませんから。選手には、『変化するんじゃなくて、進化しよう』と言っています」。

 監督も選手も、一歩ずつ前へ進んでいる。

(大利実 / Minoru Ohtoshi)

○著者プロフィール
大利実(おおとし・みのる)1977年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後、スポーツライターの事務所を経て、フリーライターに。中学・高校野球を中心にしたアマチュア野球の取材が主。著書に『高校野球継投論』(竹書房)、企画・構成に『コントロールの極意』(吉見一起著/竹書房)、『導く力-自走する集団作り-』(高松商・長尾健司著/竹書房)など。近著に『高校野球激戦区 神奈川から頂点狙う監督たち』(カンゼン)がある。

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