「アグレッシブ・ベースボール」は不変 創志学園で進める門馬敬治監督のチーム作り
チームの合言葉は「全員がコーチャーになれ!」
「神奈川の野球とか、岡山の野球とか聞かれることがありますが、根本的な考え方は変わりません。変える必要もないと思っています。どこに行っても、やるのは高校野球ですから」
取材日のウオーミングアップ。いつもはコーチが仕切っているが、この日は所用で遅れるため、門馬監督自らが先頭に立ち、指示を出した。『アグレッシブ・ベースボール』は、このアップから始まっている。スタートからゴールのラインまで走るダッシュ。スタートのラインを踏んでいた選手に、門馬監督から声が飛んだ。
「ごまかさない。そういうのが試合に出るんだよ。試合になったら、ごまかしは利かないからな」。ゴールまで全力で走るのは当たり前。「アップの1本を全力で走れない選手がいるチームが、走塁を極めることはできない」が持論だ。
アップには、リードからの帰塁、スタート、スライディング、二次リードなど、実戦を想定した動きが入る。ヘッドスライディングで帰塁したあとには、けん制の悪送球を想定して、すぐに立ち上がり、ボールの行方を目で見て、次塁を狙う。何となくやっている選手を、指揮官は見逃さない。「練習のための練習は要らない。毎日が試合だぞ」。
順番を待つ選手にも、指示の声を要求する。傍観者であってはならない。「全員がコーチャーになれ!」。それが、チームの徹底事項であり、合言葉。1球、ワンプレーにどれだけ集中できるか。1球で勝つこともあれば、負けることもあるのが野球だ。