創志学園・門馬監督が目指す5度目の頂点 「全国制覇」の横断幕をバックネットに移した意味
日頃の練習から「スピード感をどれだけ意識できるか」
主将を務めるのは、ショートを守る上田晴。門馬監督のもとで、何を得て、何を感じているか。「一番変わったのは、スピード感です。全力疾走は当たり前。スピードで相手を圧倒することを目指しています」。
取材日のシートノック。門馬監督と一緒に見ていると、「今、打球を処理したあとの戻りが遅いでしょう。最初はできるけど、なかなか続かない。体力的にも精神的にも疲れているから」と呟いた。セカンドが一、二塁間の打球を捕球し、ファーストでアウトを取る。そこから、ポジションにゆっくり戻るのではなく、ダッシュで戻りなさい、ということだ。
「甲子園で勝つには、このスピード感が絶対に求められます。甲子園はとにかく試合のテンポが速い。日頃の練習から、スピード感をどれだけ意識できるか。おそらく、選手たちは『何でそんなところまで言われるのか』と感じていると思いますけど、『一事が万事』で、“そんなことがあんなこと”につながるのが野球です」
主将の上田は、こんな話も明かしてくれた。「『人が大事。人間がグラウンドに出るぞ』とよく言われています。寮生活や学校生活で、二面性を作らない。チーム全員で意識するようになりました」。
門馬監督の口癖は、「最後は人間が出るぞ」。野球は、人がやるスポーツ。勝負所になればなるほど、“素”が出る。
「ごまかさない。楽をしない。約束事を守る。グラウンド以外の時間で、どれだけ自分を磨くことができるか。それは、毎日の積み重ねしかない。その積み重ねが、野球につながっていくものです」