ドラ1入団も…地獄の3年間で戦力外「これより下はない」 西武・齊藤大将が歩む再生の道

西武・齊藤大将【写真:荒川祐史】西武・齊藤大将【写真:荒川祐史】

入団から3年間で通算1勝4敗、防御率7.71「良かった時は一度もなかった」

 戦力外となった“ドラ1”が、再起の道を歩んでいる。2017年ドラフト1位で、明治大から西武に入団した齊藤大将投手。即戦力左腕として期待されたが、結果を残すことができないまま、2021年5月に左肘のトミー・ジョン手術を受けた。その年のオフに球団から支配下として契約しない通告を受け、育成選手として再契約。背番号「111」をつけて2年目を迎えた。

 2020年までの3年間は通算32試合に登板して1勝4敗、防御率7.71。「良かった時は一度もなかった。これより下はないと思います。一番下にいました」。練習では投げられるのに、打者が入ると投げられない。投げ方がわからなくなっていた。

「自分はコントロールが悪い。球が抜けちゃうし、投げられないんだと勝手に思い込んでいました。入団してから3年間は、ボールを投げているというよりは、ボールがキャッチャーに向かってただ離れているという感じでした」

西武・齊藤大将【写真:篠崎有理枝】西武・齊藤大将【写真:篠崎有理枝】

TJ手術の決断「選手生命が終わってしまうかもしれないけど、やるしかない」

 左肘に異変を感じたのは、試合中だった。投げている途中でピリっとした痛みを感じ、1球ずつ、球速が1キロ落ちていくような感覚だった。なんとか打者を抑えることができたが、試合後に肘が曲がらなかった。その後、病院でトミー・ジョン手術が必要だという診断を受けた。

「手術をするかしないか、わりと選択肢を与えてくれる先生でしたが、自分の時は『手術しかないと思うよ』と言われました。そこまで言っていただいたので、逆に迷わず手術を決められました。手術をしなければ投げられない。それなら、選手生命が終わってしまうかもしれないけど、やるしかないと思いました」

 実戦復帰まで1年から1年半かかると言われたが、ダメだった部分を一気に壊すチャンスと捉え、前を向いた。

「肘の使い方、テークバック、足の踏み出す位置など、器用ではないので一気にはできないですが、シャドーピッチングをしながら、ひとつずつ取り組みました。じっくり取り組み、そこから試合に入っていけたので、今、崩れずに投げられていると思います」

2022年に実戦復帰「ボールはある程度しっくりきている」

 かつてのドラフト1位というプレッシャーは全くない。指名してもらったからには、順位に関係なく結果を出さなくてはいけない。常に、自分のできることをやるだけだと考えている。そのため、リハビリ中は投げられずに落ち込むことも、焦ることもなかった。

「人が投げているのを見ても何も思わないので、1軍の試合も普通に見ていました。粟津(凱士)や、伊藤(翔)、上間(永遠)が同じ年にトミー・ジョン手術をしましたが、回復までの期間はだいたい一緒なので、比べても意味がない。『あっちは早いな』というくらいです。自分の状態を上げていって、結果が出ればいいと思う。周りと競っても仕方ないです」

 2022年に実戦に復帰し、2軍で15試合に登板。今季もファームで着実に登板を重ねている。今は手術をする前より感触が良く、狙ったところに投げられていると話す。

「ボールはある程度しっくりきているので、コントロールの精度を上げていきたいです。まずは支配下を目指します。1試合1試合、全力で投げ、結果を出していければと思っています」

 納得のいく投球ができなかった入団後の3年間。「気持ちで負けていた」と話すドラ1左腕は、手術をきっかけに過去の自分を捨て、新たな一歩を踏み出している。

(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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