胸ボタン外して腕まくり…打席で投手を“威嚇” 「びびらせろ」指揮官から異例の指令

現役時代に広島で活躍した浅井樹氏【写真:山口真司】
現役時代に広島で活躍した浅井樹氏【写真:山口真司】

浅井樹氏は広島一筋17年間プレー…現在は女子野球振興などに尽力

 左打席に入ると、ユニホームの袖をまくって太い二の腕を相手投手に見せつけた。“さあかかってこい”と言わんばかりのポーズ。かつて、このポーズをルーティンにしていたのが元広島外野手の浅井樹氏だ。1989年ドラフト会議で6位指名され、富山商から入団。6年目に1軍に定着し、NPB通算1070試合に出場。左の代打の切り札としてもチームに貢献した。現在は球団初の専属指導者として「女子野球振興」や「カープ浅井打撃塾」などで活躍中の浅井氏に17年間の現役生活などを振り返ってもらった。

 野村謙二郎内野手、江藤智内野手、前田智徳外野手、金本知憲外野手、緒方孝市外野手……。メジャーのシンシナティ・レッズになぞらえて「ビッグレッドマシン」と呼ばれた1996年の広島打線のメンバーは実に強力だった。いずれもその後、数字を積み重ねて日本球界を代表する選手になった。そんな面々と、ともに戦っていたのが当時24歳の浅井氏だ。その年は103試合に出場し、124打数42安打の打率.339、6本塁打、28打点の成績を残した。

 ライト、レフト、ファーストを守り、スタメン、代打、守備固め。どんな役割でも全力でチームに貢献した。「1軍に上がって2年目みたいなものでしたけど、ミムさん(三村敏之監督)に重要な仕事を与えてもらって、しかもチームも強かったし、あのメンバーだったしね。まだ自分は発展途上でしたけど、毎日が充実していました。今思えば、あの環境にも感謝ですよね」。そんな浅井氏のことで大いに話題になったのが、腕まくりポーズだ。

「2軍の時からやっていたんです。プロ2年目(1991年)くらいかな。2軍監督だったミムさんに言われたんです。『お前、どうせ打てないんだから、威嚇しろ、胸のボタンも1個外して、腕をまくってびびらせろ』って」。浅井氏の体のごつさは一目瞭然だったが、三村2軍監督は、とにかく何かしらのきっかけを与えたかったようだ。

最初はイヤだったポーズも「気付いたらルーティンに」

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