驚異の奪三振率「11.85」 TJ手術から復活…ロッテ種市、好調呼んだ“モデルチェンジ”
今季は速球の割合が42.4%まで減少、フォークの44.7%が上回る
最後に、結果球の投球コースを確認していきたい。2019年はストライクゾーン内でのバラつきが比較的少なく、ボールゾーン低めに落とす球も一定以上の割合で存在。その中でも、ストライクゾーンの真ん中から右上のゾーンがやや多くなっており、特に真ん中右のコースは59個と、極端に多くなっていた。
2020年は前年も多かったストライクゾーン真ん中右のコースに加え、ど真ん中と左上の割合も増加。全体的に真ん中から高めのゾーンにボールが行くケースが増えており、投手にとっては危険な兆候を示していた。2023年は高めに行く割合が減少し、真ん中から低めの高さに投じられる割合が増えている。こうした傾向の変化が、各種の指標にも示されていた制球力の向上と、痛打を浴びるケースの減少にもつながっていると考えられる。
また、ボールゾーンに落ちる球の割合がこれまで以上に多くなっており、三振を取るために投じられるフォークが適切に制球されていることがわかる。フォークの被打率が低く、決め球として多くの三振を奪えている理由が、この数字からもうかがえよう。
持ち味である高い奪三振率はそのままに、課題だった制球力が登板を重ねるごとに向上。フォークの割合を増やしたことによって安定感が増した点を含め、種市は故障する前の自身を上回るような、完成度の高い投手へと成長を遂げつつある。ファンが待ち望んだ完全復活によって、佐々木朗希投手と共に奪三振の山を築く若きコンビが確立されるかもしれない。抜群のポテンシャルを備えた大器が、大ケガを乗り越えてついに完全開花を遂げるか。若き剛腕が繰り広げる奪三振ショーに、これからぜひ注目してみてはいかがだろうか。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)