身につけておきたい挨拶と興味 球界OBと企業経営者が考えるセカンドキャリア

球団OBと企業経営者の立場で選手のセカンドキャリアを考える【写真:荒川祐史】
球団OBと企業経営者の立場で選手のセカンドキャリアを考える【写真:荒川祐史】

「指導やコーチングが上手い人がいる。アスリートの可能性は大きいんだろうなと思います」

池田「有村社長はプロ野球選手、アスリートの採用に関心はありますか?」

有村「関心はあるのですが、話があるようでないんですね、今のところ。ラグビーのトップリーグでプレーしていた元選手は1人いまして、しっかり働いてくれています。興味があるなと思うのは、現役時代にそれほど活躍していなくても、監督としてものすごい指導力を発揮する方もいるところ。そういう指導やコーチングが上手い人がいると感じます。そういったところでアスリートの方の可能性は大きいんだろうなと思います」

池田「支配下の選手は契約金を退職金として使っていけるので、まだ自分の財布にお金があるわけですよね。ただ、育成の選手はそうもいかない。支配下を目指して頑張るんですが、期限がある。その時間には、次を考える時間も含まれているのか、もしくは野球だけに没頭して次に向かうのか。そういうことを考えられる人と考えられない人がいると思うんです。球団として人間育成も含めた野球選手を作っていくことができれば、世の中に出ていくときにホークスでちゃんと教育を受けたからという、球団が人材を育てる会社になっていけるといいんじゃないかと思います」

池田「育成選手たちは100人が入団して10人も出てくる世界じゃない。でも、そこにチャレンジする彼らの精神ってのは僕は素晴らしいと思うんです。心配する親御さんのことを考えたり、セカンドキャリアのことを考える時には、この場所の数年間がとっても大事な時間になる。縁があった企業に入った時にホークスがあったから、となると、また別の企業で目を向けてくれるところがあるんじゃないかと思いますね」

――厳しいアスリートの世界で生きてきたからこその忍耐力は武器になりませんか?

池田「根性、忍耐力は、今の人たちはあまりアテにしない方がいいと思います。若い人たちは情報をいっぱい持っていますし、能力もあるけど、その使い方を知らない。我々のような世代の人たちは使い方だけしか分からない。そこを融合させればもっと良くなる。ホークスでは今でも言われていますけど、誰でもいいから球場にいる人には挨拶をしなさい、頭を下げなさい、挨拶することで損することはないっていうことを伝えている。社会人では、まず名刺交換をする、挨拶をする、頭を下げるということが大事。そこは教育が要らない、いい部分ではないかなというふうに思うんですよ」

有村「もうその通りだなと思います。今の若い人って意外と挨拶ってできないんですね。社内でも口酸っぱく言っていますが、やっぱりできない。ただ、やっぱり挨拶は大事というのがあります。私はこの立場になったので、採用面接からは離れましたけど、面接では素晴らしかった人が、いざ入社してもらうと『えっ?』と思うこともあるんです。面接のための勉強って、すごいんだろうなと思います。そこには思うところはありますし、私達も大きな人間になってもらうための指導っていうのはしないといけない。そこを怠っては会社自体も良くはならないと思っています」

「興味を持っている子というのは、やっぱり伸びていくんです」

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