身につけておきたい挨拶と興味 球界OBと企業経営者が考えるセカンドキャリア

「南日本酪農協同株式会社」の有村義昭代表取締役社長(左)とソフトバンクの球団OBの池田親興さん【写真:荒川祐史】
「南日本酪農協同株式会社」の有村義昭代表取締役社長(左)とソフトバンクの球団OBの池田親興さん【写真:荒川祐史】

「興味を持っている子というのは、やっぱり伸びていくんです」

――選手が現役のうちに取り組んでおいた方が良いことはありますか?

有村、池田「難しいですね」

池田「25歳のときに60歳になったときのことは想像できないですよね。私も60歳になったときに初めてそうかと思ったけど、今やることをちゃんとやる、というのが一番大事なことだと思います。終わった後のことを考えなさいって言ってもなかなかできるものではない。できるとすれば、自分の力がどれだけあるかというのを、自分で咀嚼すること。確かに自分のセカンドキャリアに向かって何か勉強したり、スタートさせたりすることも大事だけど、プロ野球の世界にいて頑張るわけなんで、どちらかに身が入らなくなってしまうこともあり得る。個人的には、次に向かうためにはプロ野球での日々をちゃんとやることが先であって、それができない人はセカンドキャリアでもできないと思うんです。ちゃんとやり切ったという満足感、達成感があって次に向かうことが大事。未練を残さず、自分の1日1日が本当に頑張ったプロ野球生活であったと言えたときに初めて、次に来られたと思える。その時間を作ることが一番じゃないかなというふうに思います」

有村「新入社員にもよく言うんですけども、物事に興味を持ちなさい、ということですね。興味を持っている子というのは、やっぱり伸びていくんです。興味を持っている子っていうのは、例えば私どもの仕事でいうと、どこか他社の商品だろうが新しいものが出たら絶対に飲んでみる、食べてみる、新しいお店ができたら絶対に行ってみる。何でもいいんですけど、物事に興味を持つってすごく大事だなと思いますし、それは仕事を変わっても多分一緒です。そういうものがなかったとしても、意識してやっていくと変わってくると思うんです。そういうところがあると、どんな仕事でも身に付いていくんじゃないかなと思いますね」

池田「みんな好きなことだとやりますよね。プロ野球選手でも、成長する選手というのは興味があったり、いろいろな探究心があるもの。今の人たちは失敗したら、すぐにそれを消そうとする力が働く。でも、失敗は自分の財産になるし、本当は失敗じゃない。やったことがないことをやるというのは難しいことですし、失敗してもいいんです。それを糧にして努力して変化していけば、変われるんじゃないかと思いますね。会社に入って企業人になれば、会社同士の競争もあれば、当然、会社の中での個人の競争もある。その中で出世することもあるでしょう。自分でやったものがちゃんと結果、形として出ていくことの嬉しさとかも分かれば、働く楽しみも出てくるんじゃないでしょうか」

○南日本酪農協同株式会社
宮崎・都城市に本社を置く乳業メーカー。1960年に同市にあった南部酪農協同組合の設備を引き継いで設立された。1971年に看板商品である乳性炭酸飲料「スコール」を開発。1973年に関西地区で「スコール」の販売を開始し、ヒット商品となる。現在は全国16箇所に工場や事業所を展開し、牛乳や乳製品の製造、販売を手かげている。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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