終わらない「あと1球」への執着 前田健太は「一流になる」…高卒1年目で確信のワケ

広島時代の前田健太【写真:編集部】
広島時代の前田健太【写真:編集部】

川端順氏が語る前田健太の1年目「何十球もかかる最後が素晴らしい」

 広島からメジャーにはばたいた日本投手は3人いる。FA移籍した2007年オフの黒田博樹投手、2008年オフの高橋建投手、そして2015年オフにポスティングシステムを利用して海を渡ったツインズの前田健太投手だ。元広島投手で、投手コーチ、編成部長も務めた川端順氏(徳島・松茂町議)はそれぞれに思い出があるが、とりわけ前田に関しては2軍時代のことを強烈に覚えているという。インプットされているのは「1球へのこだわり」だった。

 前田は2006年高校生ドラフト1巡目で広島に入団した。編成担当だった川端氏は「(前田担当スカウトの)宮本(洋二郎)さんが早い段階から『線は細いけどPL学園にいいピッチャーがいるんだよ』ってすごく推されていたのを覚えてますね。宮本さんに『今日はどこに行くんですか』って聞いたら『PL』。ほかの日に聞いても『PL』。それこそ、いつもPLに行っておられるのかと思うくらいだったですからね」。

 当時の川端氏はプロ担当だったため、1軍だけでなく、2軍にもよく顔を出していた。広島・廿日市市にある大野練習場、山口・岩国市由宇町のカープ2軍本拠地・由宇球場に足を運ぶことも多く、2軍だった1年目の前田健太が印象深いという。「背番号34をつけて、細い体の子がおるなって最初はそんな感じだったんですけど、ピッチング練習を見て、こういう選手が一流になるのかもしれないって思いましたね」。

 川端氏はこう話した。「キャッチャーが『あと何球投げるんだ』って聞いたら前田は『カーブとスライダーとチェンジアップと真っ直ぐ、これだけです』って言うんだけど、すべていいところに決まらないと終わらないんですよ。自然と球数も増えていった。そんな何十球もかかる“最後”が凄いな、素晴らしいなと思いましたよ」。

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