「昂也を見といて」コーチの予言的中 2軍戦で9失点大炎上からの“復活劇”

1か月の調整期間で取り戻したストレート

 苦悩の1か月だった。5月2日のウエスタン・リーグのオリックス戦で1回0/3を投げ、7安打5四球を許し9失点。制球は定まらず、ボールはことごとく打ち返された。結果、防御率は10点台を大きく超え、再調整を余儀なくされた。その後は試合には帯同せず、畝コーチと共に投球フォーム修正に時間を費やした。高橋がマウンドに戻ってきたのは6月11日。同リーグのオリックス戦で、1回を無失点に抑えて再スタートを切った。

「球速を上げることも大事ですが、打者が差し込まれたり、タイミングをとりづらいストレートを投げたりすることのほうが大事だと思っています。もちろん向上心をなくしてはいませんが、球速に執着するあまり力んでしまっては元も子もありませんから。結果を残すことが大事だと思っています」

 埼玉・花咲徳栄高時代は、横浜高の藤平尚真(現楽天)、履正社高の寺島成輝(元ヤクルト)とともに「高校ビッグ3」と呼ばれ、プロ2年目には1軍で初勝利をあげるなど、大きな期待を背負った。しかし、3年目に左肘を痛めてトミー・ジョン手術。実戦復帰まで1年半を要し、150キロ近いストレートは鳴りを潜めた。早いもので今年で7年目。2021年以来の1軍マウンドが当面の目標となる。

「今日のような投球を継続していくことしか考えていません」。そう話した高橋の頭には、赤く染まったマツダスタジアムで登板する自身の姿が描かれているに違いない。左腕エースの象徴ともいえる背番号34を託された高橋の逆襲に期待したい。

(真田一平 / Ippei Sanada)

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