現役ドラフトは「成功だった」 “経験者”が語る…続々とブレークする理由

「あいつが欲しいと思ってもらえる姿を見せているか」

 野口氏は昨年オフの現役ドラフトを振り返り、「結果的に、中日や阪神のように本当に欲しい選手を獲れた球団と、1人以上獲得しなければならない制度だから、しかたなく獲った球団に分かれた印象です。後者は獲った選手に対して見切りが早くなりがちです」と指摘。「各球団にはもっと積極的に、出場機会の少ない選手を現役ドラフトに挙げてほしい」と活性化を期待する。初の現役ドラフトでは、各球団が指名対象選手として2人以上を挙げたが、2巡目の指名意思を示した球団はなく、1巡で終了となった。「全球団が2巡目の指名を行うくらいにはなってほしいです」とは言う。

 とはいえ、現役ドラフト導入が選手に与えた影響は大きい。「各球団の編成担当が、現役ドラフトやトレードで獲得すべき選手を探してファームの試合を回っている。ファームに埋もれている選手たちの中に、そっちの方向を向いて頑張れる選手が増えました。理想的な心構えとは言えないかもしれないけれど、選手がモチベーションを保つ上で大切な要素だと思います」と語る。

 今季は現役ドラフト以外でも、近藤健介外野手のFA移籍に伴う人的補償として、ソフトバンクから日本ハムに移った田中正義投手がクローザーに定着し、26試合2勝1敗11セーブ、防御率2.16とブレーク。トレードで阪神から日本ハムに移った江越大賀外野手も、昨季24試合だった出場が今季既に55試合を数え、昨季1度もなかったスタメンが31試合に上っている。

 野口氏自身、1989年オフにドラフト外で千葉・習志野高からヤクルトに入団したが、6歳上で同期入団の名捕手・古田敦也氏の陰で、長い間“第2捕手”の立場に耐えた。プロ9年目の1998年シーズン途中、球団に直訴していたこともあって、城石憲之内野手(現ヤクルト2軍チーフ兼守備走塁コーチ)とのトレードで日本ハム移籍が実現。すぐに正捕手の座を勝ち取り、翌1999年には初めて規定打席をクリア。2000年には打率.298、9本塁打76打点と打棒も振るった。

 現役ドラフトも導入され、少しずつ制度が整う中で、野口氏は改めて「“飼い殺し”がないように、埋もれている選手が活発に移籍できる球界になっていってほしい」と切望する。一方で、「出場機会に恵まれない選手たち自身にも、他球団に『あいつがほしい』と思ってもらえるような姿を見せているか、他球団に認めてもらえる努力をしているかどうかを、もう1度自分に問いかけてほしい」と強調する。移籍先でブレークするための最低条件だろう。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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