北別府学さんは「気付いたら追い込まれている」 元燕の1番打者が脱帽した投球術

元ヤクルトで野球評論家として活躍する飯田哲也氏【写真:荒川祐史】
元ヤクルトで野球評論家として活躍する飯田哲也氏【写真:荒川祐史】

飯田哲也氏が回顧…厳し過ぎるファーストストライクで主導権を握られた

 通算213勝をマークした元広島のエース、北別府学さんが6月16日に65歳で死去した。現役時代に盗塁王に輝くなど、走攻守3拍子揃った外野手として活躍した野球評論家の飯田哲也氏はヤクルト時代に対戦。カープ伝説の右腕は何が光っていたのか。

「北別府さんは、もう現役の晩年でしたけどね」。飯田氏は1990年代の20代前半からレギュラーの座を確保。北別府さんは37歳の1994年シーズンで引退した。百戦錬磨の老かいな投球術に翻弄された若き日の記憶をたどる。

「やられた感じはしないけど、結果を出させてくれませんでした。言葉にすると……うーん、何て言うんでしょう。伝えるのが難しいんですよ。今の佐々木朗希(ロッテ)のような圧倒的な球はないので、いつでも打てそうなんですが、でも打てない。『あれっ』という感じでしたから」。ボールが特別速いわけではない。フォームは柔らかくオーソドックスで、変則でもないのに。

“精密機械”とまで称された北別府さんの制球力が、飯田氏にとっても難題だったことは確かだ。「球界のみなさんが仰っているように、やっぱり本当にコントロールがいいです」。けれども、単に「制球が良い」という表現だけでは収まらないと述懐する。

「初球、ファーストストライクが打つ所じゃない厳し過ぎるコースに来る。それで、気が付いたら追い込まれてしまっているんです。甘い球が来ない。バットに当たっても、コントロールがいいので、ヒットゾーンに打球が飛んでいかない」。主導権を握られて、自分の打撃をさせてくれなかったという。

「配球が命」…北別府さんは打者の気配を察知して投げていた

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