守護神不在を巨人はどう乗り切る? 復活実証の左腕、新助っ人、トレード…期待の“新戦力”

巨人・大勢【写真:矢口亨】
巨人・大勢【写真:矢口亨】

難しかった先発メンデスの見極め…押し出し死球などで逆転許す

■巨人 2ー2 阪神(2日・東京ドーム)

 巨人は大勢投手がコンディション不良で6月30日に出場選手登録を抹消され、守護神不在の状態で7月戦線を迎えた。一方、現在チームで完投を期待できるのは、今季1完封を含め2度完投している戸郷翔征投手くらい。右肘の張りから1軍に戻ってきた菅野智之投手は、復活の途上にいる。となれば、原辰徳監督の当意即妙の継投策が勝敗の鍵を握ることになる。

 7月2日に本拠地・東京ドームで行われた首位・阪神との一戦は、そういう意味で象徴的な試合だった。相手の岡田彰布監督と、ベテラン指揮官同士の虚々実々の駆け引きを展開。双方投手を7人ずつ繰り出し、延長12回の末に2-2で引き分けた。

 そもそも、先発の左腕ヨアンデル・メンデス投手の見極めが難しかった。突然制球を乱したかと思えば、ストライクゾーンいっぱいの絶妙のコースに決まる。1点リードの4回、先頭の中野拓夢内野手に右翼線二塁打され、続くシェルドン・ノイジー内野手に四球。4番の大山悠輔内野手を3球三振に仕留めながら、5番の渡邉諒内野手には1球もストライクが入らず四球を与える荒れ模様で、1死満塁となった。ヨハン・ミエセス外野手にカウント0-2と追い込みながら、3球目の内角低めのスライダーが左足のつま先付近を直撃し、押し出し死球で同点。2死後、木浪聖也内野手に右前適時打され、1点のビハインドを背負った。

 この4回を終えた時点で、メンデスを諦めてもおかしくはなかった。しかし、その裏の攻撃で秋広優人内野手が同点ソロを放ち、試合の流れを引き戻したこともあって、原監督は続投を選択した。メンデスは5回と6回を、4奪三振でパーフェクトに抑える快投で応える。指揮官は試合後「4回に関しては制球力(が乱れた)というところがありましたが、よく投げたと思いますね」と胸をなでおろしていた。

中川が復活を実証、ロッテから小沼をトレードで獲得

 そのメンデスが7回に1死一、二塁のピンチを背負うと一転、“マシンガン継投”でしのぐ。まずは“左殺し”の左腕・高梨雄平投手が登場。近本光司外野手に対する初球が、いきなり右脇腹付近への死球となり、1死満塁となったのは誤算だったが、続く中野を内角高めの144キロ速球で遊飛に仕留め役割を果たす。続く右打者のノイジーには、右腕の鈴木康平投手をぶつけ、153キロの快速球で空振り三振に仕留めた。

 8回はタイラー・ビーディ投手が担い、9回と延長10回は、中川皓太投手が打者6人をパーフェクトに抑えた。腰痛で昨季を棒に振り、いったん育成契約となった中川だが、5月に支配下登録を勝ち取り、徐々に調子を上げてきた。2イニングを投げ切ったのは今季初めて。実績のある左腕だけに、今後原采配で極めて重要な役割を担いそうである。

 11回は三上朋也投手が3者凡退に抑え、先頭の木浪をはじめ左打者が並ぶ12回には、左腕の大江竜聖投手を当てはめる理詰めの継投で、チームにとって今季初の引き分けに持ち込んだのだった。

 さらにその巨人に、リリーフ要員がもう2人加わる。1人目は2日の試合前に入団会見を行った新助っ人左腕、アルベルド・バルドナード投手だ。原監督は「来週はシート打撃をはじめ、ファームで何試合か投げてもらう」と明かし、「リリーバーとして一角を担ってくれると思う。そのために彼は来ているわけで、早くいいコンディションをつくってほしい」と期待を込めた。

 2人目は3日に石川慎吾外野手との交換トレードでロッテからの新加入が決まった小沼健太投手だ。2020年育成ドラフト2位でBC・茨城から入団した小沼は、昨季1軍デビュー。3年目の今季は4試合に登板して防御率9.00にとどまっているが、新天地で再起を図りたいところ。守護神不在の苦境を、薄氷を踏むような継投で乗り切っていく。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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