村上宗隆から「何で落ちた?」 厳しいエールも…ドラフト候補が“一発逆転”で叶えた夢

練習試合に登板した侍ジャパン大学代表・蒔田稔(明大)【写真:川村虎大】
練習試合に登板した侍ジャパン大学代表・蒔田稔(明大)【写真:川村虎大】

明大・蒔田は昨年代表漏れ…村上からラインでメッセージが届いた

 先輩からの“きついエール”が励みになった。明大の蒔田稔投手(4年)は大学日本代表「侍ジャパン」入りを果たし、7日(日本時間8日)から米ノースカロライナ州で開催される「第44回日米大学野球選手権」に出場する。昨年は代表選考合宿に招集されたが、選考漏れしていた。

 5日(同6日)、渡米後初のオープン戦で5回に登板した蒔田は先頭に中越え二塁打を浴びるも後続を3者連続三振に仕留め、1イニングを無失点に抑えた。「日本ではカーブ、チェンジアップが良くなかったが、こっちに来てコントロールできた。(大会で使用する)球にも慣れて、しっくりくるようになった」と納得の表情を浮かべる。

 明大では昨年春の東京六大学リーグで4勝1敗、防御率1.90をマークし、優勝に貢献。ベストナインにも選出された。その後、「ハーレムベースボールウィーク」に出場する大学日本代表の選考合宿に参加したが、紅白戦で打ち込まれ、選出されなかった。

 意気消沈する蒔田に一通のラインが来た。「何で落ちた?」。相手は熊本・九州学院高で2学年上の村上宗隆内野手(ヤクルト)だった。「『実力不足です』って返したら、既読は付いたんですが、既読無視されて終わりました(笑)」。そっけない対応も“愛情の裏返し”。来年こそはと強い思いが込み上げてきた。

東大に2失点スタートからの代表入り「一発逆転で入ったので」

 3月には村上が日本代表の一員として、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場。自分が着用できなかった侍ジャパンのユニホームを着て世界一に輝いた。一方で、自身は昨秋リーグ戦は防御率4.61、今春も初戦の東大戦で2回3失点でマウンドを降りるスタートだった。そこから全日本大学選手権で計10回を無失点に抑え、選考合宿に追加招集。悲願の代表入りを果たした。

「追加招集から一発逆転で入ったので……。順調に入ったわけでもない。嬉しさは結構ある。いつも通りとはまた違った感じですかね」

 1年前は“既読無視”に終わった村上からも今年は「おめでとう」と祝福のラインが届いた。プロ志望も明言する右腕。先輩と同じ舞台で戦う前に、同じ日の丸のユニホームで自身の力を証明するつもりだ。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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