高卒新人が2軍で一時“首位打者” コーチも一目置く…阪神ドラ3は「他とちょっと違う」

阪神・井坪陽生【写真:橋本健吾】
阪神・井坪陽生【写真:橋本健吾】

2軍で好成績を残すドラフト3位ルーキー・井坪陽生外野手

 独特の打撃フォームから積極打法でヒットを積み重ねる。新人離れした打撃センスを見せるのが、阪神のドラフト3位・井坪陽生外野手だ。18年ぶりの優勝を目指す1軍を横目に、ウエスタン・リーグで開幕直後に打率4割台をキープ。一時は“首位打者”に上り詰めた若虎は「3、4年後ぐらいにはそこ(1軍)で勝負しないといけない」と、牙を研ぎ、その時を見据えている。

 関東第一(東京)から2022年ドラフト会議で阪神から3位指名。高校通算32本塁打の長打力と50メートル6.0秒の俊足、遠投101メートルの強肩と3拍子揃った外野手だ。軸足に体重を乗せ、バットを上下に動かす“ヒッチ”する打撃フォームが特徴で「どうすれば打てるかを考え、春季キャンプ前に取り入れました」と、プロ仕様の打撃を見つけ出したという。

 高校時代は何度も打撃フォームを模索していたが、プロ入り直前に巨人・丸佳浩、阪神OBの金本知憲氏のヒッチを動画で研究。「ヒッチの幅など自分に合うものを取り入れて一番、合うフォームを見つけました。僕は毎回モノマネから入って、打撃フォームを作っていく」。最短距離でバットを出し、大きく体重移動をしないことで目線がブレず直球、変化球にもコンタクトできる。

 ここまでウエスタン・リーグでは53試合に出場し打率.295、3本塁打、26打点をマーク。5、6月は調子を落とした時期もあったが「ヒッチのタイミングを変えた」ことで、再び本来の打撃を取り戻した。持ち味でもある「中学時代から染みついている」ファーストストライクからスイングする積極性は失うことはなかった。

北川2軍打撃コーチも評価「体重移動が少ないのでブレが少ない」

 2月の春季キャンプから約半年間、井坪の打撃を支えてきた北川博敏2軍打撃コーチも「高卒新人として、ここまで成績を残すのは立派。打ち方は独特ですが、打撃に関しては他とはちょっと違ったものを持っている」と、目を見張る。2軍とはいえ、投手のレベルは高校時代とは比べ物にならない。なぜ、高卒新人がここまで成績を残せるのだろうか。

「体重移動が少ないのでブレが少ない。ボールを長く見られるので詰まっても、泳いでもヒットにできるし、ボール球も振らない。だからこそ率を残せている」

 現段階では「ホームラン打者ではない」との見立てだが「率も残せて、足もある。3拍子揃った打者を目指していくのか。パワーがついてくれば大きいのも。もちろん、まだ課題は多いがこの先どういった打者になっていくか楽しみ」と、更なる成長に期待を込めている。

 1軍では同じ外野手で高卒2年目の前川右京が活躍。2軍で経験を積み、結果を残す“先輩の姿”も気になるところだが井坪は「自分はまだ1年目、まずプロのレベルに慣れていくことが大事だと思っている。もちろん、3、4年後ぐらいにはそこ(1軍)で勝負できないといけない」と、冷静に分析している。

 シーズンも折り返し、ここまでを振り返り「最初はもう少し苦労すると思っていた。それでも、試合や練習を重ねていくことで徐々に対応できた」と手応えを口にする。ただ、現状には満足していない。「今は上のレベルで通用する基礎を作っていかないといけない。打撃の波があるので、そこをいかに保っていくか」。

 18年ぶりリーグ優勝に向け激しい首位争いを続ける阪神。高卒ルーキーが割って入るのは並大抵のことではない。満を持して甲子園の舞台に立つことを目標に、井坪はバットを振り続ける。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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