“当事者”語る現役ドラフト「変われている実感」 クビ覚悟から覚醒した中日24歳の今

中日・細川成也【写真:小林靖】
中日・細川成也【写真:小林靖】

細川成也は昨オフ現役ドラフトでDeNAから中日へ…7年目で才能開花

 1年前には想像もつかなかったような日々を、全力で駆け抜けている。現役ドラフトで今季から中日に加入した細川成也外野手は、開幕からシーズン半分以上を消化しても1軍にい続けるどころか、主に4番を張って打線を牽引する。現状に「1軍で野球ができている幸せを感じているというか、1試合1試合本当に楽しくできています」と充実感をにじませた。

 高卒ルーキーだったDeNA時代の2017年にプロ初打席初本塁打の衝撃デビュー。以来、常に将来を嘱望されてきた。強靭な肉体から放たれるパワフルな打撃は魅力に溢れ、2020年にはイースタン・リーグで本塁打、打点、出塁率の“3冠”に。しかし、1軍で殻を破ることはできずにいた。

 長距離砲の期待を受けながら、昨年までの6年間で通算6発。「あと1年ダメだったらクビかなっていうのはありましたし、もしかしたらもう(昨オフで)危ないと思っていたくらいだったので必死でしたね」と語る細川の転機になったのが、昨年12月に初めて実施された現役ドラフトだった。

 出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させるための制度の“1期生”として中日移籍が決まった。裏を返せばリストに載ったということにもなるが「決まった瞬間から、マイナスな感情は全然なくて。いい形に、プラスに捉えていました。僕自身変われるチャンスかなと思って、キャンプからやってやるぞという感じでした」と前向きに飛び込んだ新天地で、才能が開花した。

 監督選抜で、7年目にして初めて球宴にも選出された。24歳で“覚醒”したといっていいだろう。細川自身も「変われている実感はあります」と微笑みながら「自信? 少しは……。少しはありますけど、まだまだできていない部分もたくさんあるので、その中で1日1日経験かなと思います」と変わらない謙虚さも見せた。

 現役ドラフトを経て一変したプロ野球人生に、“当事者”として「とてもいい制度だと思いますし、僕もこうやって試合に出られているので、来年以降もいい形でできたらいいんじゃないかなという感じです」と話す。試合に出続ける大変さや勝敗を一身に背負う責任感など、これまでとは違った思いも抱える。それでもその表情は、昨年までとは全く違う“いい顔”に見えた。

(町田利衣 / Rie Machida)

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