巨人菅野がドラ1デビューに感慨 「浅野がすごい選手になった時に自慢させてほしい」

DeNA戦に先発した巨人・菅野智之【写真:小林靖】
DeNA戦に先発した巨人・菅野智之【写真:小林靖】

7回6安打無失点で2勝目、本拠地では今季3度目の登板で初勝利

■巨人 6ー0 DeNA(8日・東京ドーム)

 巨人の菅野智之投手は8日、本拠地・東京ドームで行われたDeNA戦に先発して7回6安打無失点に抑え、今季2勝目(2敗)を挙げた。本拠地では今季3度目の登板で初勝利。右肘の張りで出遅れたシーズンだが、いよいよ完調間近を印象づけた。

 味方打線が2回、3回、5回に2点ずつ援護し、スイスイとイニングを重ねたように見えた。しかし菅野は「今日は0点で抑えることが重要な役目と言うか、自分にとって大事な感覚でもありました」と明かしたように、無失点を自分に課していた。

 4点リードの4回。1死から3番の佐野恵太外野手に右翼線二塁打を浴びるも、4番・牧秀悟内野手をカウント2-2から、高めの147キロ速球で浅い中飛に仕留める。続く宮崎敏郎内野手には右前打され、2死一、三塁と追い込まれたが、左打者の楠本泰史外野手に対し、インコースへ140キロ前後のカットボールを2球続けてカウント1-1とした後、125キロのカーブで泳がせ中飛に打ち取った。「1点はしようがないかなと思う場面もありましたが、うまく耐えられたので、またひとつステップアップしたかなという感じがします」とうなずいた。

 今季は右肘の張りで開幕に間に合わず、初登板は6月11日のソフトバンク戦にずれ込み、5回2失点勝利でスタートした。その後、同18日の楽天戦で6回2失点、7月1日の阪神戦で7回1失点と、着実に調子を上げてきていた。今季初めて無失点で終え、「どの球種も、全体的に平均点以上」と満足げである。

「だいぶ真っすぐに自信が出てきているのではないでしょうか。ややもすると変化球に頼り、彼本来の投球からかけ離れるケースがあるので、私はとてもいい兆しだなと思っております」と評したのは、原辰徳監督だ。これを伝え聞いた菅野は、「どうですかね。監督はたぶん、真っすぐで押すピッチングが好きだと思うので、そういう風に映っているのであれば、いいですけど」と苦笑しつつ、「実際に真っすぐの割合が増えてきましたし、右打者のインコース、左打者のアウトコースへの真っすぐが決まり始めている」と認める。

直球が最も多い28%、次いでカットボールが24%

 今季過去3試合の球種の割合は、カットボールとストレートが約25%ずつ。その他にスライダー、フォーク、カーブ、ツーシームを散りばめていた。カットボールの方がストレートより少し多いくらいだったが、この日は104球中、ストレートが最も多い29球(27.9%)で、次いでカットボールが25球(24.0%)だった。

 一方、この日は18歳のドラフト1位ルーキー・浅野翔吾外野手が途中出場で1軍デビューを飾った。菅野は「浅野がすごい選手になった時に、あの時マウンドに立っていたのは僕だったと自慢させてほしい」とエールを送ったが、報道陣から「自分のルーキー時代を思い出したか?」と聞かれると、「僕の場合は彼とはまたちょっと違って、活躍しなくちゃダメな立場だった。彼はまだそこまで求められていないと思う」と語った。

 菅野の場合は、東海大4年の時に日本ハムから1位指名を受けたが入団拒否。翌年、念願がかなって巨人から1位指名され、尋常でない重圧の下で、1年目に13勝6敗の好成績をマークした。その後もコンスタントに活躍し、11年目で通算119勝(65敗)。そこには、一筋縄ではいかなかった歴史が刻まれている。

 持ち前の精密なコントロールと多彩な変化球を見せつけ、さらにストレートの力強さも改めてアピールした33歳。次世代へバトンを引き継ぐのは、まだまだ先だ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

JERAセ・リーグ

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY