“経験者”三浦監督&石井コーチが挙げるDeNA優勝の条件 「これからですよ、痺れるのは」

DeNA・三浦大輔監督(左)と石井琢朗チーフ打撃コーチ【写真:荒川祐史】
DeNA・三浦大輔監督(左)と石井琢朗チーフ打撃コーチ【写真:荒川祐史】

WBCで世界一の牧がV弾、石井コーチ「大事な試合を経験してきただけに…」

■DeNA 1ー0 巨人(9日・東京ドーム)

 セ・リーグ2位のDeNAは11日から、わずか1ゲーム差で首位・阪神と直接対決3連戦に臨む。ベイスターズのリーグ制覇は1998年が最後。12球団で唯一、21世紀に入ってから優勝していないチームだが、三浦大輔監督、石井琢朗チーフ打撃コーチ、鈴木尚典打撃コーチ、斎藤隆投手コーチは当時の主力選手。その経験がこれからモノを言うかもしれない。

 9日に東京ドームで行われた巨人戦。DeNAは延長12回、4番・牧秀悟内野手が左翼席上段へ決勝14号ソロを放ち、1-0で投手戦を制した。1位から4位までが4.5ゲーム差以内にひしめく混戦のペナントレース(10日現在、以下同)にあって、4位の巨人との3連戦に2勝1敗で勝ち越した意義は大きい。

 9試合ぶりの本塁打が殊勲の1発となった牧は、7月に入ってからの打率が.235(34打数8安打)とやや調子を落としている。開幕直前にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンの優勝に貢献したとあって、石井コーチは「さすがの牧も疲れが出ている」と見ているが、それでも「(WBCで)大事な試合を経験してきただけに、こういう時に打ってくれれば」とさらなる期待を寄せる。

 チーム打率.253と294得点がともにリーグトップのDeNAだが、この3連戦は計3得点。これでよく勝ち越せたものだ。石井コーチは「確かにロースコアの試合が増えているけれど、優勝するためには、こういう接戦を勝ち切ることが大事になる」と強調する。

 この日は延長11回まで得点できなかったが、両チーム無得点の8回には、無死一塁で大和内野手が投前に送りバントを決めた。11回にも先頭の宮崎敏郎内野手が死球で出塁すると、続く戸柱恭孝捕手と関根大気外野手が連続犠打(関根はセーフティ気味のバント)で走者を三塁まで進めた。石井コーチは「得点にはつながらなかったが、ああいう作業を1つ1つ積み重ねていくことが、すごく大事。緊張感のないところで決めるバントと、これでゲームが決まるという場面でのバントは全然違いますから」と指摘。「まだこれからですよ、もっともっと痺れるのは」と苦笑した。

投手陣に相乗効果「98年もそうでした」

 一方、三浦監督は「先発の東(克樹投手=7回2安打無失点)をはじめ、リリーフ陣も点を与えず、つないでつないで守り切った。バックの守りも同様で、痺れる場面でも大きなミスもなく守り切ってくれた」とディフェンス面でナインを称えた。

 DeNAのチーム防御率は3.22でリーグ4位だが、ここにきて、サイ・ヤング賞受賞の輝かしい実績を持つトレバー・バウアー投手が5連勝し今季6勝2敗。エースの今永昇太投手も6勝1敗、東はセ・リーグトップタイの8勝(2敗)を挙げ、相乗効果が生まれている。

 指揮官は「1998年もそうでした。僕も(先発ローテ投手として)『また連勝で自分に順番が回ってきたよ。よし、これを次の先発投手につないでやろう』という気持ちでマウンドに上がっていました」と栄光の年を振り返る。そして「今年の投手陣にも一体感がある。投手キャプテンの山崎(康晃投手)がみんなをまとめ、ミーティング等で『チーム全体で戦っていこう』という話をしてくれています。みんながいい刺激を与え合っていると思います」と目を細めた。

 阪神との首位攻防3連戦については、「いやぁ、まだまだ……選手たちに体調を整えてもらって、チームとして準備していきます」と多くを語らなかった三浦監督。四半世紀ぶりのチャンス到来にも、あわてず騒がず、秋の勝負どころを見据えているようだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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