日の丸背負って米国戦「厳しいのかなと」 大学侍J、悲願のVで監督が涙…語った重圧
日米大学野球で2大会連続20度目の優勝を果たした侍ジャパン
重圧から解放され、ほっと息を吐き出した。大学日本代表「侍ジャパン」の大久保哲也監督の目には光るものがあった。第44回日米大学野球選手権(米ノースカロライナ州、サウスカロライナ州)で、米国を下し、史上2度目の敵地優勝を果たした。だが、「ちょっと厳しいんじゃないかな」と、諦めかけた瞬間もあったという。
最終戦までもつれ込んだ今大会。2勝2敗で迎えた12日(日本時間13日)の第5戦では、初回に先発の細野晴希投手(東洋大)が1点を許したが、2回に無死一、二塁から廣瀬隆太内野手(慶大)の左翼への適時二塁打で同点に。さらに、進藤勇也捕手(上武大)の三ゴロで併殺を狙った二塁手が悪送球。2点を勝ち越した。その後も、8回に追加点を奪い、結果は6-2。悲願の優勝を果たした。
今大会、第1戦で幸先よく1勝を挙げるも、その後2連敗。王手をかけられた第4戦では、先発した下村海翔投手(青学大)が5回無安打無失点4奪三振で抑え込んだが、6回に登板した武内夏暉投手(国学大)が2被弾で3点を失い逆転を許した。裏目に出た継投策。この時ばかりは気丈にふるまっていた大久保監督も「ちょっと厳しいのかなとは思いました」。
しかし、大久保監督の不安をよそにチームは、すぐさま3点を奪い、逆転勝利。「よくひっくり返した。あの辺が選手のメンタルが強くなった、成長したところじゃないかな」と嬉しそうに振り返った。
3月にはWBCでトップチームが世界一…大学侍Jも「なんとか優勝を」
大久保監督にとって国際大会で指揮を執るのは今回で2度目。昨年の「第30回 ハーレムベースボールウィーク」では4位に終わっていた。そして、3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)ではトップチームが決勝で米国代表を下し、世界一に。場所、相手、ユニホームも同じ。重圧もあった。
「今年、WBCでトップチームが世界一になって。その流れで大学野球の番が来ましたので。なんとか優勝をしなくてはいけない。そういう思いは強くありました」
敵地での優勝は2007年以来2度目。前回優勝時は青学大の河原井正雄監督が指揮を執った。今大会も青学大勢が5人選出され、主将の中島大輔外野手、最後を締めた常廣羽也斗投手、2試合で好投した下村ら活躍が光った。「何かの縁があるんじゃないかな」と感慨深く振り返る。
このチームでの心残りを問われると、「もういいんじゃないかな」と苦笑い。重圧をはねのけた選手たちへ「将来的にはWBCのメンバーとかね。なれる選手が何人もいる。いい結果が出るように期待しています」。選手たちを、我が子のようにこれからも見守るつもりだ。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)