佐々木麟太郎に「本塁打とか打たなくていい」 指揮官からの指令…後打つ主将の“覚悟”

盛岡市立戦に出場した花巻東・千葉柚樹【写真:羽鳥慶太】
盛岡市立戦に出場した花巻東・千葉柚樹【写真:羽鳥慶太】

注目の佐々木麟、初戦はノーアーチも…花巻東は快勝し3回戦へ

 第105回全国高校野球選手権の岩手大会が13日、盛岡市のきたぎんボールパークなどで行われ、高校通算140本塁打の佐々木麟太郎内野手(3年)を擁する花巻東が初戦を迎えた。盛岡市立に11-1で7回コールド勝ちを収め、2019年以来4年ぶりの夏の甲子園へ好発進。日本一への最後のチャンスに勝ち進むには、警戒される佐々木麟の“後ろを打つ男”がキーマンになりそうだ。

 注目の佐々木麟はこの試合、「3番・一塁」で先発し4打数1安打。3回に中前へ痛烈なライナーで抜ける今夏初安打を放ったものの、本塁打はなかった。ただ父でもある佐々木洋監督は「今大会はホームランとか、記録とか、打たなくていいと言っています。チームに貢献して勝つための打撃をするように」とキッパリ。何を優先すべきかを明確にしている。

 その佐々木麟について「味方で良かった」と言うのが、すぐ後ろの「4番・二塁」が定位置の千葉柚樹主将(3年)だ。

 岩手県内だけではなく、全国の注目を集める佐々木麟。史上最多とされる高校通算140発の看板を背負っていては、まともに勝負してくれるわけがない。千葉も「勝負を避けられるのは当然だと思っています。なので打席の中で、自分がいかに冷静になれるかを考えています」。甲子園に行くには自分の働きが重要と、分かっている口ぶりだ。

西武の渡辺GMが「群を抜いている」と評価するスイング…千葉主将も追いかける

 この試合でも4回、佐々木麟が四球を選び、千葉に満塁で打席が回った。結果は空振り三振。「打ちに行き過ぎてしまったのかな」と頭をかく。ただ初回に先制を許すという展開の中で、3打数2安打、2打点という結果を残した。「難しい状況でしたけど、すぐに取り返してくれたので」とホッとした表情を見せる。

 佐々木麟の何よりの魅力は、その強烈なバットスイングにある。振る力が頭抜けているのだ。「あんだけバットを振っていける。高校生では群を抜いている。そんなにはいないでしょうね」と言うのは、西武の渡辺久信GM。13日はスタンドからプレーを見守り「遠くへ飛ばすスイングをしている。角度も初速も」と高く評価した。

 その後ろを打つ千葉は、高校通算25本塁打。冬の間は打球速度やスイングスピードを引き上げようと、常に計測しながらの練習が続いた。打球速度は160キロが出るようになったといい「全力で振るのはそもそも難しい。マックスで振る形をつくれるようにやってきました」。すぐ前を打つお手本を、追いかけている。

 白星発進に、指揮官は「とにかく伸び伸びやってほしい。練習や練習試合はピリピリしているので、公式戦は伸び伸びやってほしいと思っています」。守備位置でも、一塁の佐々木麟と二塁の千葉は隣だ。マウンドの投手へ向かって、競うように声を掛ける姿が目についた。手と手を取り合い、最後の夏にかける。

(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY