巨人が広島に負け越す“珍法則” 原監督「なかなか出ない」…逆転Vへ避けられぬ壁

巨人・原辰徳【写真:矢口亨】
巨人・原辰徳【写真:矢口亨】

8回から2イニング連続で満塁の大チャンスも無得点

■広島 6ー1 巨人(13日・東京ドーム)

 巨人は13日、本拠地・東京ドームで行われた広島戦に1-6で敗れた。延長にもつれ込むも、11回に一挙5点を奪われ、3位・広島との差は2.5ゲームに広がった。今季の広島との対戦成績は5勝10敗。逆転優勝を狙うには、オールスター明けへ向けてコイ対策が欠かせない。

「見ての通りでね。ここ1本っていうのが、なかなか出ないというところですね。ピッチャーはよく頑張っていると思いますがね」。原辰徳監督は試合後の会見で、そう言葉を絞り出した。

 勝機は何度もあった。1-1の同点で迎えた8回の攻撃。相手4番手の島内颯太郎投手を攻め、無死一、二塁。一打勝ち越しのチャンスに4番の岡本和真内野手という願ってもないシーンだったが、遊ゴロ(一塁走者が二塁で封殺)に倒れ、1死一、三塁に。犠牲フライでも勝ち越せるチャンスが続いたが、大城卓三捕手は二飛。なおも続く中田翔内野手が四球で歩き、2死満塁と詰め寄ったが、吉川尚輝内野手は島内の155キロの速球の前に、遊ゴロに打ち取られた。

 9回にもチャンスがあった。相手の守護神・矢崎拓也投手に対し、先頭のドラフト4位ルーキー・門脇誠内野手が絶妙のセーフティバントで一塁線に転がす。安打に一塁手・松山竜平外野手の悪送球も重なり、無死二塁で一気に“サヨナラ・ムード”が高まった。原監督が「頭を使った、いいメークチャンスではあったね」と称えた一幕だった。さらに2四球などで、2イニング連続で(1死)満塁のチャンスをつくったが、3番の秋広優人内野手は、カウント1-2から高めのボール気味の150キロ速球を振らされ三振。続いて、8回に岡本の代走で出ていた中山礼都内野手が打席に入るも、投ゴロに倒れた。

 全体的に優勢に進めた試合だったが、延長11回の守りで救援陣が坂倉将吾捕手に中前へ勝ち越し2点適時打、堂林翔太内野手に満塁から走者一掃の三塁打を浴び、万事休す。原監督は「ここのところ、カープとはずっとだよね。ここっていうところで(タイムリーが)出ませんね」と指摘。「もう少し研究する必要があるでしょうね」とリベンジを誓った。

5年連続負け越し→3年間負け越しなし→新井監督就任とともに黒星先行

 13日現在、今季の巨人がセ・リーグの対戦成績で黒星先行しているのは、3勝7敗1分の首位・阪神と、5勝10敗の広島の2チームだ。打線は広島戦で1試合平均2.93得点と、同2.27得点の阪神戦に次いで点を取れず、一方で投手陣は1試合平均4.60失点と、ヤクルト戦の同5.00失点に次いで点を奪われている。たとえば、広島の大瀬良大地投手は、今季トータルでは3勝7敗、防御率3.27と今ひとつだが、巨人戦となると3戦2勝0敗、対戦防御率1.80と圧倒している。

 広島との対戦成績は、2015年から5年連続で負け越していたが、2020年以降の3年間は12勝9敗3分、12勝12敗1分、13勝12敗と互角の戦いを繰り広げながら負け越しはなし。奇しくも、緒方孝市元監督が広島の指揮を執った5年間は歯が立たず、佐々岡真司前監督時代にはやり返し、新井貴浩監督が就任した途端、再び苦手に転じた格好だ。

 ひょっとすると、新型コロナウイルス禍で禁止されていた声出し応援が4年ぶりに解禁され、カープファンの熱い応援に押されている部分もあるのだろうか……。原監督が予告した“カープ研究”の成果が待たれる。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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