清宮幸太郎の本塁打が増えないワケ 大きな進化の裏に…OBが指摘した“泣き所”

日本ハム・清宮幸太郎【写真:荒川祐史】
日本ハム・清宮幸太郎【写真:荒川祐史】

苦戦が続く日本ハム…中心になるべき清宮幸太郎の現状を田中幸雄氏が分析

 新庄剛志監督が就任して2年目の日本ハムは、前半戦を35勝50敗の最下位で終えた。交流戦を勝ち越し、一時は借金を3まで減らしたものの、そこから後退。10連敗を喫するなど、3位に10.5ゲーム差をつけられた苦しい戦いが続いている。再建過程のチームで、レギュラー候補として育てられてきたのが清宮幸太郎内野手、万波中正外野手、そして野村佑希内野手だ。今季は明暗と呼べるほどのコントラストがついている3人について、通算2012安打を記録したOBの田中幸雄氏が収穫と課題を指摘した。

 今季の清宮は4月20日のロッテ戦で脇腹を痛め、2か月近く戦線を離脱した。ここまでの1軍成績は41試合で打率.284、4本塁打、17打点。新たな本拠地「エスコンフィールド北海道」はグラウンドが狭くなったものの、期待された本塁打量産には至っていない。ただ田中氏は「昨年、一昨年より上達はしていますよ、打率が良いですし、三振が減って四球も増えた。ボールを見られるようになって、良い当たりを打ち返しています」とまずは進化を称える。

 これは田中氏が以前から指摘してきた「体のキレ」が良くなったためではないかという。「ボールが見えていることが前提ですが、打とうとしたボールが変化した時に止まれるか。これには瞬間的なキレ、筋力が必要です」。キレが良くなり、スイングスピードも上がれば、ボールをギリギリまで引き付けてからバットを振れるようになる。現在の清宮は、この成長サイクルの中にいるのだ。

「際どいボールを見送っているし、打ち返している打球も質がいい。二ゴロや右翼へのライナーにしても、惜しかったなという打球がありますからね」。一方で、はっきりとした弱点もいまだ残っている。

「引っ張る力、中堅から右に飛ばすのは問題ない。真ん中からインコースにツボを持っているし、ものすごい飛距離も見せてくれる。あとはアウトコースをどう逆方向へ飛ばせるようになるか。広角に長打が出るようになった万波とは、はっきり違いがあります」

 清宮が今季1軍で放った4本塁打は、いずれも中堅から右への引っ張り。これには理由があると田中氏は言うのだ。「外のボールへのスイングは、どうしても力が弱まるんですよ。投球に負けたり、スピードについていけないことが出る。そこを清宮は、まだ克服できていない。反対にも打てた方が楽に本塁打は増えると思うんですけどね」。瞬間的なスピードを上げるには、筋力アップを図るしかない。

日本ハム・万波中正【写真:矢口亨】
日本ハム・万波中正【写真:矢口亨】

万波中正は「ずれていても当たれば飛ぶ」清宮と大きく本塁打数が違う理由

 さらに今季の清宮は、守備位置が変わった。三塁守備について田中氏は「足の運びがまだ内野手ではないというか。ちょっと怖いところはありますけど、捕るのがうまいんでしょうね。どうしても足の動かし方がうまい方が守備は上手に見えますが、ちゃんとこなしてアウトにすればいい。一生懸命なのはわかりますしね。今後どうなっていくか」と一定の評価を下す。

 同じように一塁から三塁に転向した選手に、田中氏と同時代にプレーした小笠原道大内野手がいる。「ガッツ(小笠原)は動きが良かったですね。あとは練習の虫だった。体をしっかり鍛えているから、土台がしっかりしていてスピードを出せる足があった。清宮はまだそのあたりがね」。下半身の強さ、スピードが上がると、さらに成長の余地があるという。

 一方、パ・リーグの本塁打王争いで2位につける(15本)の万波には、はっきりと進化の跡が見えた前半戦だった。試合に出続けたこともあって打席での“引き出し”が増え、調子の波が小さくなってきた。

「投手のボールの出どころから、線をひいてこられていると言うのかな。よくボールが見えているなと思います。調子が悪い時は、ボールの見え方が違うものなんですが、うまく対処しているように見えますね」

 昨季までは清宮と同じく、外角に逃げる変化球にもろいところも見られた。「前は突っ込んでばかりでしたが、今は打ちに行って止まるとか、なんとかバットに当てるとかできていますよね。投手も崩そうと様々なボールを投げてくる。そこで体幹、体の軸が強ければ、自分のタイミングからずれていても当たれば飛ぶ。やっぱり50本打てるくらいのパワーがあると思いますよ」。更なる本塁打の上積みも見込めるというのだ。

 そして、苦しいシーズンを送っているのが野村だ。開幕4番に起用されながら、打率.231、8本塁打で7月14日には1軍登録を抹消された。「打ち方は、3人の中で一番いいと思いますよ」と言う田中氏は「外の変化球に腰が引けて、手打ちになってしまっていますよね。特にカットボールのような、速くて逃げる球についていけていない」。ここでも不足しているのは体のキレとスピードだ。チームも守備位置を一塁に変えてみたりと、様々な工夫をしているように見えるといい「こういう年があった、ではいけない。少しずつでも伸びていかないと」と後半戦に期待する。

「清宮の怪我、野村の不調というのはチームがこの順位にいる理由でしょう。万波を含めた3人は、今後のファイターズを引っ張っていかないといけない選手たち。昨年からそのつもりで新庄監督も使っているでしょうしね」。3人に共通するのは、まだまだ瞬間的なスピードを上げられるという部分だ。「どんなスポーツもそうですよね。上に行けば行くほど、スピードが上がって対処が難しくなる。それを克服するには経験と練習しかないんです」。田中氏が「まだ2、3年はかかる」とみている日本ハムの再建。この3人の完成形なくして、難しいのだけは間違いない。

(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY