指揮官も激賞、勝敗を分けた“ライトゴロ” ビッグプレー生んだ準備と名手の機転

再三の好守で勝利に貢献した西武・岸潤一郎【写真:小林靖】
再三の好守で勝利に貢献した西武・岸潤一郎【写真:小林靖】

右翼・岸の好守…無死満塁の右前打で二塁送球、一走を二塁で封殺

■西武 2ー1 楽天(22日・ベルーナドーム)

 西武は22日、本拠地ベルーナドームで行われた楽天戦に2-1で競り勝ち7連勝。5回の守備では無死満塁のピンチで、岸潤一郎外野手が右前の当たりを捕球後、二塁へ送球し一塁走者を封殺。“ライトゴロ”が記録された好プレーで、勝利を引き寄せた。

 西武が1-0とリードして迎えた5回。楽天・村林一輝内野手が無死満塁、カウント1-2から放った打球が右前で弾む。三塁走者・阿部寿樹内野手が悠々と同点のホームを踏んだが、岸は間髪を入れずに二塁へ送球し、一塁走者の太田光捕手を封殺した。松井稼頭央監督は「あらかじめ(二塁送球を)イメージしていないと、体が動かずああいうプレーはできない。周りの状況、打者の特徴を含めて、頭に入れて守ってくれているのだと思います」と絶賛。逆に村林は、1打点は稼いだが、ヒットを1本損した格好だ。

 なおも無死満塁が続くはずが、1死一、三塁と局面が変わり、西武先発の今井達也投手は後続を断って、大ピンチを最少失点で切り抜けた。松井監督が「同点で切り抜けたことが非常に大きかった」と指摘した通り、その裏の攻撃で、源田壮亮内野手の決勝適時三塁打が飛び出したのだった。

 勝敗を分けたライトゴロは、岸のみならず、複数の野手の共同作業と言える。岸は問題の場面で、右翼の定位置の少し前を守っていたが、打席の村林をカウント0-2と追い込むと、ベンチの指示でさらに前へ出た。「守備位置から見て、シングルヒットであれば、おそらく二塁走者が本塁へ突っ込むことはない。そこで僕は、万が一頭上を抜かれたらしかたがない、強い打球が前に来た時には、一塁か二塁へ早く返すことをイメージして準備しました」と振り返る。一塁か二塁でライトゴロを取ることは、十分想定していたわけだ。

2回には右翼フェンス際の大飛球をジャンピングキャッチした

 村林の打球が一、二塁間を破った瞬間、二塁手の外崎修汰内野手はライナーで直接捕球するかのようなジャスチャーで、一塁走者の太田を幻惑しスタートを遅らせていた。ここも重要なポイントだ。

 岸は「トノさん(外崎)のフェイクも、ランナーのスタートが遅れたのも正面に見えていましたし、ゲンさん(源田)が二塁ベース上から大声で呼んでくれているのも聞こえました。しっかり投げられてよかったです」と説明。「連係プレーでした。1人1人ができることをやったことが、つながったのだと思います」とうなずいた。

 岸は2回にも、楽天・浅村栄斗内野手が放った大飛球を右翼フェンス際でジャンピングキャッチし、先発の今井達也投手を助けていた。「打者が浅村さんやソフトバンクの柳田(悠岐外野手)さんの時には、大きい飛球をイメージしながら守っています」。ここでも、実際に打球が飛んでくる前のイメージづくりが美技につながった。熾烈な外野のレギュラー争いの中、岸が守りで猛アピールしている。

【実際の動画】二塁手が隠れたアシスト…西武が成功させた“ライトゴロ”

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