“ポスト森友哉”候補の強肩捕手 痛恨被弾を糧に…不動のレギュラーへ重ねる試行錯誤

西武・古賀悠斗【写真:小林靖】
西武・古賀悠斗【写真:小林靖】

リーグ2位の盗塁阻止率.353を誇る強肩が強み

■楽天 4ー2 西武(23日・ベルーナドーム)

 昨年までの正捕手・森友哉がオリックスへFA移籍した西武で、今季最も数多くマスクをかぶっているのが、中大から入団し2年目を迎える古賀悠斗捕手だ。24日現在、チーム85試合中51試合にスタメン捕手として出場。試行錯誤を重ねながら奮闘している。

 古賀は最近11試合連続でスタメンマスクをかぶっている。そこで、松井稼頭央監督に「不動の正捕手の座に近づいているのでは?」と聞いてみたが、「まだまだでしょうね」と即座に首を横に振った。その上で「すぐにとは思いません。マスクをかぶって勝つこともあれば、連敗することもありますが、その中で経験は生きていると思います」と成長途上のホープに目を細めた。

 指揮官の目に古賀の特長は、「投手のいいところを引き出してくれている。走者を刺すというところも、投手にとって安心感があるのではないか。ブロッキングなども成長していると思います」と映っている。確かに、ロッテ・佐藤都志也捕手に次ぐリーグ2位の盗塁阻止率.353(23日現在、以下同)を誇る強肩は、古賀の最大の強みだ。一方、打撃は今季打率.167、1本塁打6打点と苦戦中だが、アマチュア時代には強打の捕手として鳴らした。守備優先のポジションだが、シーズンを通しての試合出場に慣れてくれば、打撃にも向上が見込めるのではないだろうか。

 古賀自身は「正捕手になるには、守備面でも打撃面でも信頼が必要だと思います。今は、その信頼を得る機会を与えてもらっている。使っていただいている間に、自分のやるべきことを一生懸命やるだけです」とキッパリ。「次の段階として、防御率にはこだわっていきたいです」と付け加えた。

西武・松井稼頭央監督(左)と平石洋介ヘッドコーチ【写真:小林靖】
西武・松井稼頭央監督(左)と平石洋介ヘッドコーチ【写真:小林靖】

「冷静になれていたら防げた」楽天・辰己に許した痛恨の逆転3ラン

 そんな古賀にとって、チームの連勝が7でストップした23日の楽天戦(ベルーナドーム)は痛恨だった。バッテリーを組んだ先発投手は、来日2年目の左腕ディートリック・エンス投手。要注意の打者は、「8番・中堅」で出場した辰己涼介外野手だった。エンスは楽天と今季初対戦だったが、昨年辰己に対戦打率.625(8打数5安打)、2本塁打とカモにされていたのだ。

 西武が2-0とリードして迎えた2回2死二、三塁のピンチで、辰己の第1打席を迎えた。カウントを3-0とするも、四球で満塁にすることを恐れずにスライダー、カットボールで丁寧に外角を突き、フルカウントまで挽回。最後も外角のスライダーで、見送り三振に仕留めた。

 しかし、4回に落とし穴が待っていた。1点を返され、なおも2死一、三塁で再び辰己と対戦。カウント1-1から、古賀が要求したのはツーシームだった。辰己がストレート系に強いことは承知の上で、この日初めて選択した球種だったが、147キロを計測した内角高めを右翼席へたたき込まれ、取り返しがつかない逆転3ランとなってしまった。古賀は試合後、「自分のミスです。打たれているデータがあり、危険性を知っていた。もっと冷静になれていたら防げたのではないかと思います」と自ら責任を背負った。

「打者をよく観察しているし、時には裏目に出ることもあるけれど、物おじせず強気にリードするのが古賀のいいところ」と評するのは平石洋介ヘッドコーチ。この日、その古賀がロッカールームに戻ったのは、ベンチ裏で野田浩輔バッテリーコーチらとミーティングを行った後で、チームで一番遅かった。信頼される正捕手を目指し、中身の濃い毎日が続く。

【実際の動画】「冷静になれていたら防げた」 古賀が悔やんだ痛恨の被弾

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