「僕に夏バテという言葉はない」吉田輝星が明かす…金農フィーバーが生まれたワケ

日本ハム・吉田輝星【写真:羽鳥慶太】
日本ハム・吉田輝星【写真:羽鳥慶太】

実は春から「絶対王者みたいな扱い」秋田大会を接戦で勝ち抜く

 夏の高校野球は、各地で都道府県大会が進行中だ。甲子園を目指した戦いは、これから更に熱を帯びる。近年最も盛り上がった夏の甲子園が2018年だろう。エース吉田輝星(現日本ハム)を擁する金足農(秋田)と、根尾昂(現中日)や藤原恭大(現ロッテ)といったスター軍団の大阪桐蔭が決勝で激突した。この大会、準優勝してヒーローの階段を駆け上がった吉田が“夏の戦い方”を明かす。

 5年前の熱い夏。秋田大会当時の心境を吉田は「春から秋田では、絶対王者みたいな感じで扱われていた大会でしたね」と振り返る。実際に春の県大会は、決勝で由利工を16-1の大差で下し優勝している。

 そう見られていたからこそ、夏の大会を前にチームには緊張感が走ったという。「抜いたら食われる。全部10-0で勝つくらいの気持ちで行くぞって言っていました」。ただ、思うようにはいかないのも高校野球だ。秋田北鷹との初戦(2回戦)は吉田が先発し完封したものの、2-0という結果。「このままだと足元をすくわれるぞっていう話をした覚えがあります」。

 言葉の効果があったのか、決勝ではロッテの山口航輝外野手や、オリックスの曽谷龍平投手がいた明桜を相手に2-0の完封勝利。山口を4打数無安打、3三振に封じた。さらに甲子園でも鹿児島実業や横浜、日大三といった強豪を次々に破り、決勝まで勝ち上がった。

「相手が油断した瞬間に、魂が残っていたらこっちのもの。夏は気持ちの勝負、本当にそう思います」

 甲子園の決勝まで投げ抜いた裏には、吉田の“体質”も関係しているという。「食ったら食った分だけ(肉が)つくのが僕の体」と笑う。「普通の人と逆なんですかね、夏も体重が増えすぎないように気をつけないと」。現在は朝食をタンパク質とヨーグルトなどに限ることも多い。

「だから、僕に夏バテという言葉はないです」

 今季は2軍での修業が続いている。昨年1軍の打者をうならせた球速以上に伸びる“美直球”を、少しずつ取り戻しつつある。「昨年ほどビタビタのラインが出ている感じはまだないですけど、甘く入ってもファウルになることが増えている。両サイドにビタビタに来るように、コントロールを磨いていきたい」。得意の炎天下で、復活を果たしたい。

(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

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