「新時代の4番」担う23歳 “当たれば飛ぶ”からの変化…データで紐解く豹変ぶり

日本ハム・万波中正【写真:矢口亨】
日本ハム・万波中正【写真:矢口亨】

前半戦だけでキャリアハイを更新、リーグ2位の15本塁打を記録

 今季のパ・リーグで最もインパクトのある活躍を披露している選手の1人が、日本ハムの万波中正外野手だろう。打撃では前半戦だけでキャリアハイを更新する15本塁打をマーク。守備では外野からのレーザービームで幾度も走者の進塁を抑止するなど、攻守両面でスケールの大きいプレーが光る。ここでは、好成績を残す打撃面での変化を深く掘り下げていく。

 万波といえば長打力が売りのスラッガーというイメージが強いのではないだろうか。実際にここまでの本塁打の平均飛距離は、ソフトバンク・柳田悠岐外野手や楽天・浅村栄斗内野手といったリーグ屈指の強打者たちを抑えて1位に君臨している。

 これまでの万波は当たれば飛ぶという面は示していたが、ボールを捉える確率が悪く安定して成績を残せていなかった。しかし、今季はボールゾーンの見極め精度が格段にアップし、コンタクト率も昨季から10ポイント以上上昇。結果として三振が減少、つまり打球が発生する割合自体が増えており、打撃成績のアップへとつながっている。

 今季は打席内で一塁側の中継カメラ方向をじっと見てから投手と対峙するというルーティンを取り入れており、こうした取り組みも成績の向上に一役買っているのかもしれない。

状況に応じて見せるバッティングの変化

 次に挙げられる変化としては、状況に応じたバッティングを見せるようになったということだ。走者がいない時には打球に角度をつけたフライが半数以上を占めるが、走者がいる状況ではゴロ打球の割合が大きく増加する。

 さらに安打の方向にフォーカスすると、走者を置いた場面ではライト方向への打球が多くなっており、置かれた場面によって打撃のアプローチを変化させていることが見て取れる。フルスイングだけではなく、時にはコンパクトなスイングでの軽打も見せるという打撃スタイルは、これまでにはあまり見られなかったもので、打率を上昇させる一因となっている。規格外のパワーに加え、確実性も兼備するようになればまさに鬼に金棒。ミート力はまだまだ進化途上ではあるだけに、さらなる成長が今後も楽しみなところだ。

 オールスターゲームでは、選手間投票で選出されて初出場。2試合連続アーチと結果を残し、第2戦では有言実行のMVP受賞と新庄剛志監督譲りともいえるお祭り男ぶりを発揮した。日本ハムには清宮幸太郎内野手や野村佑希内野手といった近い世代のスラッガーが揃っているが、切磋琢磨しながらお互いを高め合うという環境は万波にはあっているのだろう。折り返しを過ぎた2023年シーズン、「新時代の4番」の座を狙う北の大砲の更なる活躍を大いに期待したい。

(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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