「今日いた?」から2戦連続マルチHR 岡本和真の本音「空気って言われないように…」

巨人・岡本和真【写真:矢口亨】
巨人・岡本和真【写真:矢口亨】

岡本和真は原監督に次ぐ球団史上4位の683試合で4番に座る

■巨人 2ー1 ヤクルト(3日・東京ドーム)

 これぞ“4番の仕事”だ。巨人の岡本和真内野手は3日、本拠地・東京ドームで行われたヤクルト戦で、2回に25号ソロ、8回にも26号ソロを放ち、チームはこの2得点のみの2-0で勝利を収めた。岡本和は前日2日の同カードに続き、自身初の2戦連続2発。この間、巨人の4番の大先輩でもある原辰徳監督とのやり取りが話題になった。

 2回先頭で1打席目を迎えた岡本和は、ヤクルト先発の左腕ディロン・ピーターズ投手が投じた真ん中高めの147キロの速球を見逃さなかった。左翼席上段へ先制25号ソロ。打った瞬間、誰もがそれとわかる当たりだった。

 そして2発目は、1-1の8回1死で生まれた。カウントは3-2。この回からマウンドに上がっていたヤクルト3番手・清水昇投手は、四球で歩かせることも頭をよぎったはずだ。勝ち越しの走者となるにしても、それほど今の岡本和の迫力はすさまじい。そんな中、内角低めのストライクゾーンに来たフォークをミスショットすることなくとらえ、左翼ポール際に放り込んだのだった。

「ジャイアンツファンは打ってほしいと思っただろうし、ヤクルトファンは1発だけは避けてくれという場面。そこで打てるというのはすごいですね」。試合後、原監督は岡本和をそう称えた。原監督は現役時代、故・川上哲治氏、長嶋茂雄氏、現ソフトバンク球団会長兼特別チームアドバイザーの王貞治氏に次ぐ、球団史上4位の通算1066試合で4番を務めた。高橋由伸前監督時代の2018年から4番で起用されている岡本和もまた、今季全94試合を含め同5位の683試合(3日現在)に上っている。巨人の4番の意義と重みを熟知している2人である。

昨季3冠王ヤクルト村上の前で2戦連続マルチHR…7本差に広げた

 そもそも、今カード初戦だった1日、岡本和が4打数ノーヒットに終わり、チームも0-1の零敗を喫すると、原監督は「和真、いた? 今日」と辛口のジョークを放った。

 すると翌2日、これに発奮したかのように岡本和は1試合2発。原監督を「今日は、いたでしょ」と脱帽させた。特に、左中間席後方の電光看板を直撃した2発目は、まるで金属のような快音を発し、原監督は「初めてあれだけの打球音を聞きました。あれだけの音は憧れです。(自分も現役時代に)ああいう音で打ちたかったなと思います」と称賛。さらに指揮官は「われわれの時(現役時代)とは、ボールもバットも違いますけれどね。今のバットは(木材が)硬いメイプルでしょ。われわれの時はアオダモで、もうちょっと乾いた音がしていた気がします」と束の間、感慨にふけった。

 一方、2戦連続2発後、1失点完投勝利の戸郷翔征投手とともにお立ち台に上がった岡本和は、「戸郷が頑張ってくれていたので、なんとかしてあげようと思って、めちゃくちゃ気持ちを入れていきました」と語り、さらに「また“空気”って言われないように、頑張りたいなと思います」とジョークで原監督にやり返して、スタンドの笑いを誘った。

 本塁打王争いでは、昨季3冠王でヤクルトの4番の村上宗隆内野手に3本差まで迫られていたが、この直接対決で4発を見せつけ、7本差に広げた。2年ぶりのタイトル奪回へ向けて、順調に歩を進めている。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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