最も速くホームを陥れた“韋駄天”は? 唯一の3.50秒以下…“周東超え”24歳盗塁王

ロッテ・和田康士朗、ソフトバンク・周東佑京、ロッテ・藤原恭大(左から)【写真:荒川祐史・小林靖】
ロッテ・和田康士朗、ソフトバンク・周東佑京、ロッテ・藤原恭大(左から)【写真:荒川祐史・小林靖】

打撃が魅力な選手も5位にランクイン

 塁上の走者が、野手のフライ捕球と同時にスタートを切って次塁を狙う「タッチアップ」。なかでも圧倒的に数の多い、三塁から本塁ベースに突入し、生還する際のタイムをパ・リーグの試合から計測した。果たして、どんな手に汗握る走塁に出合えるのか? TOP5のランキングを見ていこう。

 まず、5位に入ってきたのは、今季途中からパ・リーグに移籍してきた廣岡大志内野手(オリックス)の、ロッテ戦でのタッチアップ。タイムは3秒57だった。

 外野の定位置よりやや前へのフライ。右翼手も捕球態勢に入る準備ができていたため、いい送球が返ってきたが、廣岡は足からスライディングしつつ、捕手の背中側に回り込み左手でホームベースを奪いに行った。判定はアウトになったが、ベンチからリクエストがあり、ビデオ検証の結果、セーフに。廣岡というと「パンチ力のある打撃」の印象が強いが、今後は走塁でも好プレーを期待したい。

 続いて4位は、西武の若武者、若林楽人外野手が3秒55でランクイン。オリックス戦で見せたタッチアップの映像を見ても、「これはかなりスピードがある」と、すぐに認識できる躍動感のある走塁だ。

 特にチェックしたいのは、左翼手がフライを捕球した位置。定位置よりもやや前で、後方から勢いをつけながら落下点に入っている。並の走力であれば、突入を躊躇していただろう。それでも、若林は自分の走力を信じてスタートし、ヘッドスライディングで生還した。遊撃手が中継に入り、本塁に返球はなかったため結果的に楽にセーフとなったが、若林の走力あってのスピード感だった。

ファンも驚愕したソフトバンク・周東のスピード

 3位には、ロッテの藤原恭大外野手が、3秒53のタイムでランクインした。

 藤原の走りには他の選手にはない迫力を感じる。本人が一軍定着に向けて必死というのも、もちろんあるだろう。このオリックス戦の走りは、爆発的なピッチの速さでスタートし、そのままの勢いで最後にヘッドスライディング。まるで“獣”のような走りだ。現在のパ・リーグもトップクラスの、フィジカルとメンタルの強さを持ち合わせた選手ではないだろうか。

 期待にしっかり応えて2位に入ってきたのが、ソフトバンク・周東佑京内野手。

「ワールド・ベースボール・クラシックで大谷翔平選手(エンゼルス)を危うく抜いてしまいそうだった俊足」に、もはや細かな説明は不要だろう。特に3秒51というタイムをたたき出した西武戦のタッチアップは、中堅手の捕球位置が特に前だったため、「この捕球位置でスタートして、セーフになるの?」と、驚愕するファンの反応が殺到した。

「これでないとすると、どのタッチアップが1位なんだ?」という疑問も湧いてくるだろう。映えあるトップは、ロッテ・和田康士朗外野手が日本ハム戦で劇的サヨナラ勝ちを決めた、美しくもスピードあるタッチアップ。タイムは1人だけ3秒50を切る、3秒49だった。

 スタート時の和田の体勢を見てほしい。身長185センチの体を小さく折りたたむようにして、低くかがんでいることがわかる。そして、その低い姿勢からスタート後、1歩1歩、狂いなく垂直に左右の足を接地させ、地面を蹴っていくシンメトリーな走塁フォームの、なんと美しいことか。

 タッチアップはやはり、直接的に“1点が入るかどうか”を左右するだけに、選手たちがひたむきにホームに向かう姿が印象的だ。その極限プレーを、ぜひ称賛したい。

【実際の映像】大迫力のヘッスラ! 間一髪の本塁での攻防…タッチアップ本塁生還タイムTOP5

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