“広陵のボンズ”が佐々木麟太郎から得たヒント 徹底マークを突破する怪物の心得
「気にしていない」佐々木麟太郎の打席にあった大きなヒント
8日に行われた花巻東と宇部鴻城の1回戦を見た。「3番・一塁」で先発した佐々木麟は3打数3安打。左前へ2本、三塁への内野安打が1本とそのすべてが逆方向だった。「麟太郎も厳しいところを攻められていたのを、コンパクトなバッティングで打ち返していた」。マークされる中で結果を出すための方法を、知らないうちに得ていた。
広島大会では準決勝でチーム唯一の本塁打を放ったものの、打率.250に終わった。「引っ張りに出て引っ掛けるという打球が多くて……」。コンパクトに、ひたすらにセンターから左を狙う打撃は、その反省もあって取り組んできたものだ。
甲子園前の練習では、置きティーを使って内角高め、外角高めの厳しいコースをいかにはじき返すかという練習を積んだ。「回数とかは決めていませんでした。とにかく満足いくまで振った。スイングでは人に負けたくないので」。
中井哲之監督は「県大会では打っていなかったかもしれませんが、いわゆるフリー打撃では『うわあ』という打球を打ちますからね」と天性の長打力を評する。さらに身長192センチ、体重92キロの体を見ながら「まだ伸びしろがありますから。夢がプロ野球だというのならまだまだ体が細い。あれで体重が100何キロになったらどんな打球を飛ばすのか……」と、将来像に思いをはせる。「宿舎ではカレーばっかり食べてる。人が食べている間にもうおかわりしているくらい。よっぽど好きなのかな」と“伝説”の一端も明かした。
広陵は夏の甲子園での優勝がまだない。現在のチームは、昨秋の明治神宮大会では決勝で大阪桐蔭に、今春の選抜では準決勝で山梨学院に敗れた。「チャンスでしっかりランナーを返したい。チームが勝つことしか考えていません」。と話す真鍋には“広陵のボンズ”という異名がある。甲子園という最高の舞台で、真価発揮への準備は整いつつある。
(羽鳥慶太 / Keita Hatori)