父は元中日投手…青森の名門2年生エースが4安打完封 「背番号1」に隠された兄弟の絆

2年連続12回目出場の八戸学院光星が3回戦へ駒を進めた
2年連続12回目出場の八戸学院光星が3回戦へ駒を進めた

東北対決を制した八戸学院光星…2年生左腕の洗平比呂が4安打完封

 第105回全国高等学校野球選手権記念大会は12日、阪神甲子園球場で大会7日目を行い、第1試合では2年連続12回目の出場となる八戸学院光星(青森)が7-0で明桜(秋田)を下し初戦となる2回戦を突破。3回戦へ駒を進めた。“東北対決”で最速147キロ左腕の洗平比呂投手(2年)が、4安打完封の力投を見せた。

 この対決は、春季東北大会の準決勝以来。当時は八戸学院光星が8-5で逆転勝ちを収めている。八戸学院光星は5回「7番・左翼」の青木虎仁外野手(3年)が放ったチーム初安打から1死二、三塁の好機を作り、「1番・中堅」の砂子田陽士外野手(2年)が中前へ2点適時打し先制。さらにU-18日本代表候補でもある「3番・遊撃手」の中澤恒貴内野手(3年)の適時二塁打で3-0とリードを広げた。7回には「5番・捕手」の藤原天斗捕手が左翼へ3ランを放り込み突き放した。

 投げては先発を任された洗平が、4回途中まで明桜打線を無安打に抑える立ち上がり。ただ3回まで毎回、四球の走者を背負うなど制球には苦しんだ。8回に5つ目の四球を与えたところで、ブルペンでは控え投手が準備を始めた。

 これを目にした洗平は「代わりたくなかったのでギアを上げました」と無言のアピール。後続を右飛と投ゴロ併殺に抑え込み、エースの“意地”を見せた。2年生ながらエースナンバーを背負う洗平には、どうしても最後までマウンドを守りたい理由があった。

兄から受け継いだエースナンバー「ゼロで抑えれば結果は100点」

 八戸学院光星の背番号1は、昨夏は洗平の2学年上の兄・歩人さん(現・国学院大)がつけていた。今夏、青森大会では10番だった洗平は、甲子園からついに兄と同じ1番をつかみ取った。普段は連絡を取らない兄からも、夢舞台を前に「がんばれ」とひと言だけメッセージをもらった。試合では十分すぎるほど力になったに違いない。

「(背番号が)1だろうと10であろうと、ゼロで抑えれば結果は100点。(兄の)歩人は1回しか来られなかったので、その思いも含めてしっかり投げられたことはよかった」

 さらに父は、同高OBで元中日投手の竜也氏。「お父さんが来られなかったところなので、投げられてよかった。LINEでも頑張れよと言われた」と父への思いも口にした。

 昨夏も1年生で甲子園を経験した洗平に、仲井宗基監督は「昨年は連れてきてもらった側だったが、今年は自分がチームを連れて行くんだという気持ちが出てきた」と心の成長を認める。

 兄から受け継いだエースナンバーを背に、父も成し遂げられなかった「青森に初の優勝旗」という夢を叶えるべく、成長を続ける。

(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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