丸刈りじゃなくてもいい「結果で証明」 慶応が挑む“常識を変える”集大成の一戦

慶応・森林貴彦監督【写真:中戸川知世】
慶応・森林貴彦監督【写真:中戸川知世】

春の選抜では仙台育英に惜敗…夏の決勝でリベンジなるか

 第105回全国高等学校野球選手権記念大会に出場する慶応(神奈川)は21日、準決勝で土浦日大(茨城)に2-0で勝利し、103年ぶりの決勝進出を決めた。23日の仙台育英との決戦では、「高校野球の常識を変える」ため、107年ぶりとなる優勝を目指す。

 慶応は、髪型自由や選手主導のチーム作りなど、古くからの“高校野球の常識”に異を唱えるスタイルが注目を集めてきた。主将の大村昊澄内野手(3年)は、「高校野球の常識を変えたい」という信念のもと、チームを引っ張ってきた。1月に選抜出場を決めた際には、「高校野球全体に新しい価値観を発信したい。そのためにはやはり勝たないと自分たちが何を言っても、結局理想論だろうと言われたり、否定されたりしてしまったりする。結果を出して正しさを証明したい」と語っていた。

 しかし、選抜では初戦で昨夏王者・仙台育英に敗れ、1勝も出来なかった。悔しさを胸に、夏の県大会では強豪校を次々と打ち破って甲子園に戻ってきた。屈指の剛腕、スラッガーといった選手はいないものの、高いチーム力で勝ち上がってきた。

森林監督は、仙台育英に「恩返ししたい」

 夏の県大会前、最後の練習試合は仙台育英戦だった。森林貴彦監督と須江航監督は「甲子園で、予選ではなく決勝であたるといいですね」と言葉を交わし、夏の大会へ。それから約1か月半後、その言葉が現実となった。

 慶応は、選抜で敗れてから常に仙台育英を意識してきた。森林監督は「選抜は湯田君、高橋君のスピードやキレに手も足もでなかった」「打撃練習での内容や質は、仙台育英さんの投手陣が夏に向けての基準になった」と明かす。

 22日の休養日を挟み、23日午後2時から運命の一戦に臨む。「仙台育英さんに恩返しをしたい。おかげさまでここまで来られましたと。そういう気持ちですね。今までやってきたことをぶつけたい」と意気込む。昨夏は仙台育英が、5投手の継投で甲子園を制し、高校野球界に新たな風を吹かせた。今年は、“慶応スタイル”を証明する夏にする。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY