5勝15敗…西武がオリに勝てない理由 “昨日の友”森に痛打、目に見える「相乗効果」も

オリックス・中川圭太に本塁打を浴びた西武・隅田知一郎【写真:矢口亨】
オリックス・中川圭太に本塁打を浴びた西武・隅田知一郎【写真:矢口亨】

松井監督「首脳陣がしっかり対策を練り選手に伝えなければいけない」

■オリックス 5ー0 西武(24日・ベルーナドーム)

 西武は22日から24日まで本拠地ベルーナドームで行われたオリックス3連戦に全敗。特に打線は相手の強力投手陣を前に振るわず、3試合でわずか1得点に終わった。今季のオリックスとの対戦成績は、なんと5勝15敗。西武は5位に低迷し、オリックスは首位を独走中という現状の違いもあるが、昨季は14勝11敗と勝ち越していた相手だ。いったい何が起こっているのだろうか。

 3連戦のうち、24日には相手先発の宮城大弥投手に9回4安打完封を許した。5月28日の対戦(ベルーナドーム)では、6回途中までに10安打で3点を奪い黒星をつけていたのだが、松井稼頭央監督はこの日「前回とは精度が違ったと言うか、ほとんどコントロールミスがなかったのではないか。それほとしっかりコースに投げられた」と脱帽。23日には山本由伸投手に7回5安打無失点、22日にもジェイコブ・ワゲスパック投手に6回1安打無失点と抑えられ、1度も試合の主導権を握ることができなかった。

 一方、この3連戦で最も打たれた相手打者は、昨年オフに西武からオリックスへFA移籍した森友哉捕手だった。23日と24日に2試合連続で4打数3安打の猛打賞。3試合通算で11打数7安打と打ちまくられた。森は今季西武戦で、対戦打率.339(56打数19安打)をマークしており、相手別では日本ハム戦の.440に次ぐ。9打点に関しては、最も稼いでいる相手となっている。

 松井監督は「選手はグラウンドで戦ってくれていますから、こちら(首脳陣)がしっかり対策を練り、選手に伝えなければいけない。僕たちがどれだけ選手に伝えられるかだと思います」と責任を背負いこんだ。森の移籍によって、西武打線は主軸の1人を失い、相手打線は迫力を増したと考えれば、もともと苦戦は必至だったのかもしれない。

今井も力投実らず「1番から9番まで“線”で向かってくる」

 23日に6回123球1失点の力投も報われず、負け投手となった今井達也投手は、オリックスの強さを「1番から9番まで“線”で向かってくるイメージ」と表現する。翌24日に先発して6回で4失点を喫し、自身の連勝が4で止まった隅田知一郎投手は、「強いですね。今井さんの言う通りではないでしょうか」と同意。「打順の組み替えもすごいですし、チームが線になっている気がします」と吐露した。

 確かに、今季のオリックスには固定された打順がなく変幻自在だ。この3連戦のクリーンアップは、3番・中川圭太内野手、4番・森、5番・頓宮裕真捕手。ところが今月4日から6日までの3連戦のクリーンアップは、3番・紅林弘太郎内野手、4番がレアンドロ・セデーニョ内野手、5番・頓宮だった。さらに3月31日からの開幕3連戦に遡れば、杉本裕太郎外野手が4番を務めていた。調子のいい選手をどんどんポイントとなる打順に当てはめている印象で、相手にとっては対策の的を絞りづらいとも言える。

 また、隅田は「先発投手の宮城くんがリズムをつくって、野手がそれに乗り、さらに宮城くんがまたそれに乗っかっていく。チームに相乗効果が生まれている」と見ている。「僕も宮城くんのようにやっていかないと、トップレベルの成績を出せないし、相手に嫌らしさを与えることができないと思いました。僕1人で勝てるわけではありませんから」と自分の糧とする構えだ。

 将来を嘱望される若手の多い西武。リーグ3連覇に近づきつつあるオリックスから、取り入れられるものは取り入れ、その背中を追いかける。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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